ボーナスを元手に投資デビューしたい! でも一体どこで何をいくら買えばいい? 損をしにくい方法は……? 運用を始める前に知っておきたい心構えや、基本から実際の商品選択方法まで、資産形成をしていく楽しさをレクチャーします。

将来の年金に不安があり、投資に無関心ではいられない私たち世代。でも何をどう買えばいいのやら……。

「証券会社や銀行の窓口で勧められる商品を買うことは避けてください。先方が売りたい商品を買う羽目になりますよ」と教えてくれるのは竹川美奈子さん。

LIFE MAP, LLC代表 竹川美奈子さん

では、どうすればよいのでしょうか? 「運用を始める前に、やっておくべきことがあります」と竹川さん。まずは、自分が将来必要になるお金を明確化しよう! と提言してくれました。そのためには国民全員が受けられる公的保障や、勤務先によって千差万別な企業内保障を数字で把握する必要が出てきます。そうすることで、自分にとって本当に必要な金額が目に見えるように。また、公的保障や企業内保障をチェックすることで、多くの人が“なんとなく”過大に払ってしまっている医療保険のような無駄をあぶりだすことにつながるというメリットも。

「無駄な支出をしっかり見極めて、浮いたお金を貯蓄や運用に回しましょう」

竹川さんが、投資初心者に勧めるのが「今後どの国が成長するかはわからないので、購入対象は世界中。購入金額は無理のない範囲で、自分で決められる額を。また、値段が高いときに買ってしまうような悲しい思いをしないためにも時間を分散して、コツコツと買い続ける」という方法。

また、運用にはさまざまなコストがかかるため、同じ商品であっても、どこで買うかが肝になります。「コストにシビアになりましょう。法改正で話題の確定拠出年金(DC)やNISAなど税制上優遇のあるものを上手に活用してください」

[お金を育てるには3つの方法しかない]

1. 支出を減らす
住宅は賃貸も視野に。車関連費、保険料、教育費など、見直してコスト削減を!

2. 収入を増やす
長く働けるように自己投資したり、専業主婦ではなく共働きを選ぶのも一策。

3. 運用する
ムダを減らしてできた余剰金を元手に、コツコツとお金にも働いてもらおう!

[お金は3ステップで考える]

●自分の場合いくら必要かを漠然とではなく数値化しよう
将来が不安なのでお金をためなければ……とやみくもに焦る前に、まず公的保障や企業内保障でどれだけ賄われるのかハッキリさせよう。大黒柱に万一のことがあった場合の死亡保障、そして病気になった場合の医療保障/所得保障は? 足りない分は自分で準備が基本。

[個人型DCの対象が大幅増へ]

現状では企業型DCに加入できるのは勤め先の企業が導入している場合のみ。また個人型DCも自営業者や企業型年金制度のない会社員が対象と制限が。しかし法改正により、公務員やすでに企業型DC加入の会社員、各種企業型年金のある会社員も個人型DCに加入可能に(2017年予定。図は一部割愛)。

[税制上メリットのある口座を利用しよう]

●所得税控除/確定拠出型年金(DC)
毎月支払う掛け金が全額所得から控除され、また運用期間中は通常約20%課税される運用益が非課税に(受取時に税優遇あり)。さらに一般の金融商品よりも手数料が割安になるというメリットが!

●非課税/NISA(少額投資非課税制度)
昨年スタート。NISA口座を開設して上場株式や株式投資信託などを購入すると、本来約20%課税される値上がり益や分配金が非課税に。ただし購入できるのは年間100万円まで、非課税期間は5年間と制限が。

【まとめ】
1. 自分の準備するべきお金をハッキリさせる
2. 無駄な支出を減らして浮いたお金で運用する
3. 税制上お得な口座を上手に利用する
竹川美奈子
LIFE MAP, LLC代表。ファイナンシャル・ジャーナリスト。出版社や新聞社勤務などを経て独立。著書に『新・投資信託にだまされるな! 』『最新版! 税金がタダになる、おトクな「NISA」活用入門』(共にダイヤモンド社)など。