ブルボンヌさん(女装パフォーマー)、光浦靖子さん(タレント)、松本晃さん(カルビー会長兼CEO)が、交代でお悩みに回答。仕事や私生活でモヤモヤしていることを一緒に解決してくれます。今回の回答者は光浦靖子さんです。

【今回のご相談】
上司が、他人のアイデアをすぐ盗用します。ウェブサイトからのコピペは日常茶飯事。会議で誰かがいい提案をすると、20秒後には、いかにも自分が思いついたような顔で同じことを繰り返します。あまりに露骨で、みんなあきれています。モラルのない上司と、今後どうつきあっていけばいいでしょうか。[32歳・食品・たらこスパ]

人のアイデアを盗む上司

これはもう、面倒くさいねー。でも、社会なんてそんなもんでしょ。人のアイデア、盗むでしょ。そういう人、世の中にはたっくさんいますよ。

私も、自分がしゃべったフリートークを、ある女芸人がそのまんまテレビでしゃべってたのを見たことがあります。ショックのあまり「すげぇな」と思いましたけど、自分はしませんよ。

光浦靖子さん

って言いつつ、私だって誰かの言い回しを無意識にパクっとる可能性はあるけどね。たとえば、「すごい気持ち悪かった」より、「むっちゃ気持ち悪かった」って言い方のほうが面白かったとき、「むっちゃ」を無意識に使い始める―なんてよくあることで。そんな小さい盗用なら、きっと私もしてるだろうなぁ。つーか、してるね(笑)。

まあ、ゴッソリ盗用されたら、ムカッときますわね。それはわかります。でも、そこに執着すると、せっかく開いていたクリエーティブな発想が閉じちゃいますよ。それは損ですよ。

「フタが開く」って私は呼んでるんですけど、自分の中で面白いほどアイデアがボコボコ生まれる時期ってのがあるんですよ。だけど、それはちょっとしたことで閉じてしまったりします。

ある時期、すごい勢いでネタを書けたときがあったんだけど、ディレクターに「つまらない」って言われたのに傷ついて、やめてしまったんですよ。

ところが、何年かたって時代は変わり、昔作ってたようなコントがテレビでバンバン流れてて、そりゃあ後悔しましたよ。たった一人の言葉のために、ネタ作りをやめてしまったことを。で、今、自分がいざ作ろうとすると、何にも作れないわけ。作るのをサボりすぎてたから、フタが開かなくなっちゃったわけです。だからフタが開いたときは、人の意見やら反応やら気にせず、フタは開けたままにしなきゃと思ってますよ。

あなたの上司は盗み癖がすっかり身についてもはや無自覚になってると思うんで、変わるのを期待しても無駄でしょう。盗まれたら、「盗んどけコノヤロウ」って流しておくことですよ。

そんな奴にいちいち腹立てたり、アイデアを出し惜しみしたりすると、せっかく開いていたフタが閉じちゃう。そのほうがよっぽど怖いことです。

フタが開いている間はとにかく垂れ流しましょう。パカパカパカパカ出していくと、それがだんだん太い才能になっていくと思いますよ。そのアイデアにアナタ節が出てきて、一目瞭然にまでなったら、最高だね。

【光浦靖子さんからのアドバイス】
盗まれても気にしない。才能を太らすためにもアイデアは垂れ流そう!

光浦靖子(みつうら・やすこ)
1992年、大久保佳代子さんとお笑いコンビ「オアシズ」を結成。「めちゃ2イケてるッ!」(フジテレビ系列)など、レギュラー番組多数。特技のブローチ作りを活かした企画も随時開催。

構成=中津川詔子 撮影=遠藤素子