治療はいつ開始すべき?
目安は、避妊をやめて「いつ妊娠してもOK!」なのに、1年を過ぎても妊娠しない場合。ただし、35歳以上の女性が自然妊娠する力は、20代の半分以下にまで下がるといわれています。そのため、「35歳を過ぎて妊娠を希望するなら、すぐにでも病院へ」という医師もいるほど。「女性の厄年は、卵子の状態が変わる節目でもあります。33歳ごろから少しずつ卵子の老化が始まり、37歳ごろから加速。35歳以降のカップルは大切な時間をムダにしないためにも、まずは検査を受けてみるのもおすすめ」(出産専門ジャーナリスト:河合 蘭さん)
男性の検査
[検査内容]
・精液検査
・ホルモン検査
・超音波検査
[検査でわかる不妊の原因]
・精子が少ない/ない
・精子の運動性が悪い
・精子の奇形率が高い
・精液中に炎症が混じっている
●費用は1万円程度1日で終了!
円グラフにもあるように、不妊の原因の半分は男性側にあります。男性不妊は決して珍しくなく、また恥ずかしいことでもありません。夫が検査をしぶっている間に、妻の年齢が上がって妊娠しにくくなる可能性もあります。男性の検査は、精液を採取するだけでできる手軽なもの。もちろん痛みもなく、所要時間も短く済みます。検査は夫婦いっしょにスタートが基本! 病院に行くのに抵抗がある場合は、採取した精液を妻に病院まで持っていってもらうのでもOK。でも最近は、日本の夫婦も欧米のように2人で受診するケースが増えてきました。精液検査の値が少し低い場合は、男性不妊外来を受診すると血液検査や超音波検査など、より詳しい検査も受けることができます。
女性の検査
[ 検査でわかる不妊の原因 ]
・頸管(けいかん)粘液が少ない
・子宮奇形
・子宮筋腫、子宮内膜ポリープ
・卵管の閉塞
・子宮内膜症、クラミジア感染症
・卵巣予備能力低下
・卵胞が育たない、排卵しない
・抗精子抗体 など
●費用は3~4万円
男性の検査が1日で完了するのに対して、女性の検査は最低1カ月はかかります。一般的な問診のほか、超音波検査、月経周期に合わせて採血を行うホルモン検査、子宮の大きさや形、左右の卵管の詰まりがないかを確認する子宮卵管造影など、さまざまな検査によって不妊の原因となる疾患がないかを調べます。卵管造影は、検査をすることで卵管が通るようになり妊娠しやすい状態になることがあるため、検査であり治療でもあるといわれます。ホルモン検査は、月経中、排卵直前、排卵後5~7日と、複数回の採血が必要となります。また、そのほかの検査も生理周期に合わせて、検査の日にちを決めていきます。産婦人科医は、超音波で成育中の卵胞を見て生理周期を把握します。
不妊治療、出産、新生児医療の現場を取材する、日本でただ1人の出産専門ジャーナリスト。『卵子老化の真実』(文春新書)など著書多数。国立大学法人東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院、日本赤十字社助産師学校非常勤講師。プレジデントOnlineで「授かりたい男女に贈る妊娠の真実」連載中。