オフィスでよくあるシーン別に、3人の先生方が断り方のお手本を披露。はっきりと断ってOKの初級編、状況を考えたい中級編、実は断ってはNGな上級編、と3ステップの実例で断りテクを身につけよう。
こんなシーンではどう断る? シーン別言い回し例:上級編
どんなに断りたくても実は断ってはいけない場面。飲み会や社員旅行は仕事の一環として割り切るしかないよう。だからこそ、どうしてもというときは相手にしこりを残さない、これぞという言い回しを知っておきたいもの。
●気のすすまない飲み会に誘われた
「いいですけど、30分で帰っちゃまずいですか?」と顔だけ出すという感じで。“行かない”とは絶対に言わないのがコツ。(内藤さん)
仕事の一環なので基本的に断ってはダメ。業務だと思って割り切りましょう。行かなければ行かないほど孤独感が増します。(塚越さん)
公式はお礼+参加したい気持ち+行けない理由のようなもの+行きたい気持ちがあれば次回に言及。行きたくなければ言わなくてOK。(藤田さん)
●社員旅行、できれば参加したくない……
人間関係がいやで参加したくないなら、なじむ努力が必要。よい機会だから断らず、積極的に参加することをおすすめします。(内藤さん)
これも会社にいる以上、業務。行ったら行ったで、それなりに長い時間いっしょにいるので、親密になれるメリットもあります。(塚越さん)
そもそも旅行は親交が目的なので、行きたい意思+行けない理由のあとに「みなさんとは別の形で親睦を深められたら」とプラスして。(藤田さん)
●契約社員として勤務中。不利な契約を結ばされそう
困っていると何でも引き受けてしまうので、きちんと契約書を読むこと。自分に不利な条件が書かれていれば、断らず質問すればOK。(内藤さん)
話し合って双方が譲歩する努力を。伝えるときは、「ここはのみますが、この条件だけは譲りたくありません」とストレートに。(塚越さん)
シンプルにありがたい気持ちを伝えた後に再検討の依頼を。不利という言葉は使わず「事情をお酌み取りいただき……」と濁して。(藤田さん)
NOと言ってはいけない場面は、断るのではなく交渉を
社員同士の親睦の意味を含む飲み会と社員旅行は、可能な限り参加したほうがいいというのは全員同意見。
「僕は親の葬式があっても行ったほうがいいと言うほう。なじめないなら、なじむ努力をしたほうがいいですよ」と内藤さんは、少し手厳しい。
不利な契約を結ばれそうなときは、言い方が最も難しく、断り力がより試される場面。
「言われるままに結ぶのもダメだし、でも一歩でも向こうが譲歩してくれたらよしとしようという何か基準を見つけるといいですね」(塚越さん)
もしあなたが30代前半であれば、とっておきの裏技がある。
「契約書を見たときに『えっ』と言って黙り込む。そうすると向こうが察して『そりゃそうだよね』と言ってくれることが多々あるので、若いうちは有効かなと思います」(藤田さん)
いずれにしても自分が弱い立場にならないことが重要。やはり断り力はイコール交渉力なのかもしれない。
●補足:とにかく女子は“顔芸”が大事!
「女性にぜひ覚えてほしいのが“顔芸”。たとえば謝罪するときに歯をくいしばり顔を赤くするなど表情を大げさにすると、気持ちが伝わりやすくチャーミング。鏡を前に練習してみてください。マンガの表現もご参考に」(藤田さん)
コミュニケーションデザイン研究を行うアップウェブ代表取締役。交渉の仕方は著書『NOと言えないあなたの気くばり交渉術』に。
塚越友子
東京中央カウンセリング代表心理カウンセラー。専門はコミュニケーション論。『辞める前に読む!』のほか、著書多数。
内藤誼人
アンギルド代表取締役社長。立正大学客員教授。実践ビジネス心理学を中心に企業へのコンサルティングも行う。著書は200冊以上。