出産 ――気をつけたい高齢出産のリスク

●産後ケアの最前線

出産後、体が完全に回復するのを待つ間もなく始まる、赤ちゃんとの新生活。昼夜を問わない授乳やおむつ替えに加え、家事までこなすのは大変。以前は実家に里帰りし、1カ月は家事をしないで過ごすのが伝統的な産後スタイルでした。ところが、最近は晩産化で実母の年齢も上がり、身内には頼れないという人が増えています。そこで、話題なのが「産後院」。産後のママと赤ちゃんのケアをしてくれる宿泊施設です。費用はかかりますが、赤ちゃんと自分のことだけに集中でき、新生児のお世話の指導が受けられるのも魅力。また、助産院のなかにも「産じょく入院」のサービスを提供しているところも。

●どんなリスクがあるの?

高齢出産のリスクの代表的なものは、妊娠高血圧症候群。胎盤の血管のでき方に原因があるといわれていますが、加齢によって動脈硬化が始まっていたり、血液の粘度が上がっていると、血圧がますます上がりやすくなります。また、子宮筋腫がある場合、筋腫の位置によっては予定帝王切開になったり、微弱陣痛や出産時の大量出血の原因となることも。不妊治療での妊娠に多い「多胎妊娠」の場合もリスクは高まります。早産率、赤ちゃんの有病率、死亡率なども増え、胎盤が子宮の入り口付近にかかる「前置胎盤」も少し増加。自分のリスクを把握するためにも、医師とのコミュニケーションは大切に。

妊娠・出産にまつわるおすすめ本

【写真左から順に】『「不妊」じゃなくて、TGP私の妊活日記』東尾理子(主婦の友社)/『産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃』NHK取材班(文藝春秋)/『卵子老化の真実』河合 蘭(文春新書)

●『「不妊」じゃなくて、TGP私の妊活日記』東尾理子(主婦の友社)
東尾理子さん、石田純一さん夫妻の妊活生活の記録。TGPとは、「Trying to Get Pregnant(妊娠しようと頑張っている)」を略した、理子さんの造語。約2年間の治療の詳細、理子さん流の明るい妊活ライフの送り方がつづられる。タイミング法、人工授精、体外受精などの治療に関する知識もわかりやすく解説されているので、妊活初心者にもおすすめの1冊。

●『産みたいのに産めない 卵子老化の衝撃』NHK取材班(文藝春秋)
2012年に放送されたNHKスペシャルの内容を書籍化したもの。7000人のアンケートから見えてきた不妊治療大国・日本の姿が描かれる。「治療のやめどきがわからない」「卵子が老化するということをもっと早く知っていたら……」、不妊治療経験者の生の声が胸に迫る。男性不妊、卵子凍結、卵子提供の現実、最先端医療の行く末についても考えさせられる。

●『卵子老化の真実』河合 蘭(文春新書)
「本当のところ、何歳まで産めるの?」。30代以降の産む人の立場に立った徹底取材により、不妊の心配から出生前診断、高齢出産、産後のことまでわかりやすく温かい文章で解説する1冊。残り時間が気になる30代40代の女性はもちろん、将来の産みどきを考える若い女性、妻や娘の体を心配する男性にも、ぜひ読んでほしい。