会社を辞めたら、「社会人として」「大人として」という縛りから解放された。好きを軸に動き始めたら、新しい世界がひらけてきた。(アドバイスしてくれる人:はぴきゃり代表取締役 金澤悦子さん)
出産後、職場復帰したのは「育休切り」が世間をにぎわせていたころ。
「解雇されるのではとドキドキしていたから、これまでの仕事とまったく違う事務職を命じられても、戻れるという安心感しかなかった。でも、いざ始めてみると、受け身の仕事に楽しみを見いだせないし、ミスもするしで、なんのために出勤しているのかともんもんとする日々……。会社にいる未来が描けなくて、退職しました」
会社を辞めると、すべてが自由。自分を律していた「あるべき姿」のルールもなくなり、道に迷ったような心細さを感じた。彼女が心に決めたのは、忙しさに流されてあきらめていたこと、やりたかったことに挑戦しよう、ということ。
「やっぱり仕事はしていたい。働くなら、大好きな『家』に関わる仕事がいい。ならば! と一念発起して、宅建(宅地建物取引主任者資格)を取得しました。いま管理を任されているのは、知人から紹介をいただいた女性専用のシェアハウス。シェアという住み方を選ぶ女性って、自分軸をしっかりと持っていて魅力的。人との出会いが、この仕事の大きな魅力です」
こうした出会いが、さらに自分の生き方を見つめ直す契機にも。
「本当にしたいことに挑戦するようになって、今まで自分を縛っていた考え方は意外と生育歴によるものが大きいと気づいた。同じ生きづらさを抱えている人にこの経験をシェアしたいと思い、ワークショップや映画の上映会も開催しています。人の役に立ちたい、と純粋に思えるようになったのが大きな変化です」
■江頭さんのWORKING DATA(BEFORE→AFTER)
雇用形態:正社員→フリーランス
職種:営業・宣伝→シェアハウス管理
年収:約600万円→約150万円
労働時間:フルタイム、残業あり→月5~8日現場&在宅ワーク
金澤さんから一言
大好きな「家」を舞台に仕事をすることが、ずっとテーマだった「どう生きるか」ということを掘り下げることにもつながったんですね。「好き」を軸にして動き出したことで、世界が広がった良い例です。
2001年、女性のためのキャリア転職誌「ワーキングウーマンタイプ(現ウーマンタイプ)」を創刊。多くの取材から、ハッピーキャリアを見つけるためのステップを体系化。現在、はぴきゃりアカデミーを運営し、「ココロとサイフが満たされる仕事発見」をサポート。