妊娠 ――受けたい人が6割……「出生前診断」でわかること

●新型出生前診断

妊娠すると、母親の血液内に胎児のDNAの断片が混じるように。新型出生前診断は、血液中のDNAの量を分析し、染色体異常の可能性を調べる新しい検査で、臨床研究として一部の病院で行われています。血液検査という安全な方法でありながら、高い精度で21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体異常の可能性がわかります。妊娠10週という早期に検査できることも特徴。検査対象となるのは35歳以上など、規定の条件を満たした場合。陽性の場合、羊水検査で本当に染色体異常があるかを確認する必要があります。

●羊水検査

胎児の染色体異常の有無がほぼ正確にわかる、確定的診断。妊娠15週以降に、おなかに針を刺して羊水を採取し、胎児の細胞を調べます。検査を受けること自体に、約0.3%の流産の可能性が。結果が出るまでに通常2~3週間かかり、費用は10万~15万円ほど。染色体異常による先天性異常は加齢によって増えるため、高齢出産の場合は本人が望まなくても周りの勧めで検査をするケースも。染色体異常への根本的治療はないため、異常が見つかると人工妊娠中絶を選ぶ人が多く、検査前によく考えておく必要があります。

●母体血清マーカー検査

妊娠15週以降に母親から採血する血液検査。クアトロテストともいわれ、21トリソミー、18トリソミー、神経管閉鎖障害の確率が調べられます。検査の結果は、たとえば、ダウン症の確率が1/259などといった分数で示され、0や1という確定的な結果は出ません。確率は、異常があると変化する4つのタンパク質やホルモンの濃度、母体の年齢などから算出されます。ただ、高齢になればこれらの疾患の発生確率がある程度高く出ることははじめからわかっているので、分数で出るだけの検査にはあまり意味がない、と考える人も。

●超音波検査

形に現れる異常を見る検査で、非常にたくさんの疾患がわかります。染色体異常の可能性も、妊娠初期に胎児の首の後ろのむくみを見るなど、方法がないわけではありません。ただ、通常の妊婦健診で行う超音波検査では正確さに限界が。誰もが受ける妊婦健診で染色体異常を調べるのは、知りたくない妊婦さんもいることを考えると適切ではなく、医師にも調べて結果を告げる義務はありません。超音波で胎児を本格的に診てもらいたい場合は妊娠11~13週に「胎児ドック」「胎児診断科」で専門医の診察を。