受診 ――避妊をやめて1年がひとつの目安
●クリニックの見極めポイント
高い専門性と医療技術が求められる不妊治療。人気のクリニックだからと受診をした人のなかには「高齢を理由に、検査もせずに体外受精を勧められて驚いた」という声も。信頼できる医師との出会いは、納得のできる治療のためには欠かせないもの。
しかし、有名クリニックは予約をとるまでに数カ月の待ち時間がかかることもあり、クリニック選びに悩む人も多くなっています。ひとつの目安となるのが、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)が認定している施設であること。日本の不妊治療をリードしている医師でつくられた団体で、科学的に妊娠力を高める治療法を学び合い、高水準にあると認めた不妊治療施設を認定しています。
●卵巣年齢がわかる! 「妊娠力テスト」
最近、注目を集めているのが「卵巣年齢検査」(AMH検査)という、卵巣にどのくらいの数の卵子が残っているかを推定する検査。採血だけで、生理周期のどの時点でも受けられます。結果は「あなたの卵巣年齢は何歳」という数字で示されます。
「結果を受けて、ライフプランを変更し、すぐに妊活を始めた!」という人もいて、「卵子の在庫数」という未来を知ることで、現在の行動を変えることができるのが、この検査の最も大きな特徴です。ただ、これでわかるのはあくまで卵子の「数」。「質」についてはわからないので、結果はあくまで目安と受け止めて。
妊活 ――早めのスタートが◎
●精子老化は35歳から!?
胎児のときに一生分の卵子が作られる女性に対して、男性の精子は生涯にわたって毎日作られます。そのため、精子は老化しないと考える人も多いのですが、最近になって「男性の妊娠させる力も、年齢とともに少しずつ落ちていく」ということがわかってきました。精子の老化がデータで現れ始めるのは、35歳からという医師も。
また、ED(勃起障害)も年齢とともに増加します。一方、若くても精子が作られにくい人も。WHO(世界保健機関)によると、不妊の原因は「女性41%、男性24%、両方24%、原因不明11%」。不妊には、男性側も大きくかかわっていることがわかります。妊娠しにくいようなら、男性も精液検査で精子の状態を調べてみて。
●卵子凍結、駆け込み需要が……
「卵子の老化」が知られるようになり、卵子凍結も注目の対象に。若いうちに凍結し、妊娠を考えたときに融解して精子を注入。受精卵にして子宮に戻します。卵子凍結を行っているのは、30代後半~40代の未婚女性がほとんど。タイムリミットが迫っていると感じた未婚女性が、病院に駆け込むケースが多いのです。
そこで日本生殖医学会では「卵子凍結は40歳未満を推奨」という指針を発表。妊娠率を考えると35歳以上は20個程度(採卵2、3回分)の凍結が望ましく、費用は卵巣刺激・採卵・凍結・1年間の保存料などで1回25万~30万円。その後も1年ごとに保存料がかかります。また凍結卵子は45歳までに使うよう推奨されています。