妊活がブームのようになっていて、あふれる情報に、焦りや戸惑いを感じる。周囲の誰かの妊娠や出産の知らせに心がざわつくことも。もっと心にゆとりをもって、自然体でいられたらいいのに……。そう願う人も多いはず。そんな女性たちに、出産専門ジャーナリストの河合 蘭さんがアドバイス。

妊活中に陥りやすいのが、「妊娠によいこと」に縛られて、ストレス過多になってしまうこと。ヘルシーな食事、適度な運動、冷え対策……、妊娠によいとされていることはたくさんありますが、これらを完璧にこなしたからといって赤ちゃんが約束されるわけではありません。

努力をしても、自分の意思だけでコントロールできないのが妊娠・出産。キャリアを重ねてきた人ほど、成果を求めて精神的に追い込まれてしまうケースも少なくありません。妊娠できるタイムリミットや高齢出産のリスクなどを考え、不安でいっぱいになってしまう人も。

私がおすすめしたいのは、「頭」を少し休ませて、「体」の声に耳を傾けること。日なたでぼーっとしたり、運動が好きなら走ったり、山に登ったりするのもいい。論理的な思考より本能や直感を大切にして、人間が本来持っている野性を呼び覚ます。

多くの取材を続けるなかで、実はそれがいちばん生命力、そして妊娠力を高めるのではないか、と考えるようになりました。繁殖期の動物が巣作りをするように、キッチンなどの水回り、寝室を掃除するのもおすすめ。休日には、パソコンやスマホをシャットアウトするのもいいでしょう。

もし不妊治療をすることになっても、定期的に頭の中を空っぽにする時間を持ち、妊活期間をおおらかに過ごせるといいですね。

河合 蘭

不妊治療、出産、新生児医療の現場を取材する、日本でただ1人の出産専門ジャーナリスト。『卵子老化の真実』(文春新書)など著書多数。国立大学法人東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院、日本赤十字社助産師学校非常勤講師。プレジデントOnlineで「授かりたい男女に贈る妊娠の真実」連載中。

構成=浦上藍子 撮影=遠藤素子