他人のキャリアに干渉したり、細かいことを比べあったりと、職場の女づきあいは何かと面倒。なぜそんなことが起きるのか? バリ子(仕事優先)とゆる子(私生活優先)は対立するしかないのか? 精神科医と人気タレントが「ややこしい女関係」の謎に迫ります。

バリからゆるに転向したくなるときって?

タレント 大久保佳代子さん

ものすごく好きな仕事に就ける人ってわずかだから、仕事自体には満足していない人のほうが多いと思うんです。人間関係がうまくいかなかったり、忙しすぎて私生活がなくなったら、逃げたくなるんじゃないかな。私も好きでやっている芸能界の仕事ですら、「今日、テンション上がらないから行きたくないな」ってときがありますよ。

芸能界とOL、二足のわらじをはいていたときは、年に何回かはウソついて会社を休んでました。「二日酔いでだるいから」とか、かなりゆるかったです。その代わり、仕事中は「他の人の1.2倍くらいちゃんと働こう」「人間関係をスムーズに保とう」と心がけていたので、ズル休みは自分へのごほうび。そうやって自分なりにバランスをとっていたんでしょうね。

女同士の対立。解決法は?

OL時代にアルバイトの指導係をやったとき、電話応対で「ああ、そうっすね!」と答える子がいたんです。「電話なんだから、もうちょっと丁寧に……」と指摘したら、「ぼくらの世代って、みんなメールじゃないすか」との返事。びっくりして、「そうだよね。電話なんか、普段しないよね」と返すしかなかった。内心は「おいおい。仕事だぞ」と思ったけど、「だって社員じゃないもん」「小遣いほしいだけだもん」って言われたら、おしまいですよね。バリバリやりたい人はやればいいし、そうじゃない人はできる範囲でバランスをとればいい。両者が無理に仲良くなることもないんです。

でも、どうしても仲良くならないといけない状況になったら、私なら「1回飲みに行きますか」と声をかけます。で、その場の全員が敵だと思える人、たとえば評判の悪い上司について悪口を言いあう。人って、誰にでもいい顔をする人には心を開けないじゃないですか。「そうそう、そうだよね」と全員が乗っかれる“ほどよい悪口”が、バリとゆるの結束力を高めると思います。

面倒な「女づきあい」をうまくやるには?

私は人に嫌われたくないので、女子トークには「心ない感じ」でつきあいます。ほめるときは「いいよねー。それ」。同調するときは「たしかにたしかに!」。グチだったら「大変だよねー」。ほぼ、この3パターンで乗り切ってます。本当は何も考えてないんですけど、言うだけならタダ(笑)。

でも、そういう状況が毎日のように続くとしたら、しんどいので輪から外れる。OL時代は休憩室での女子トークに疲れて、「もう、つきあい悪いと思われてもいいや」と、1人ランチに行ってました。「ここ(会社)の人間関係がすべてじゃない」と思ったら、ふっきれました。本当は、気の合う女子が周囲にいればいいんですけどね。私の場合は、「○○さんて、最近老けたよねー」とその人が言ったあと、「自分だってババアじゃん!」とツッコミを入れても大丈夫な人。「うるさいわ!」って瞬時に返してくれたら最高ですね。

同性への嫉妬心はどうすればいい?

結局はないものねだりなんでしょうね、女の人って。地元で会った同級生に「芸能界の仕事っていいね。稼げるでしょ」って言われたんですけど、私は43歳で結婚もしていない。知り合いの出産を知ると、「ああいいなぁ」って思いますよ。そこから「むかつくな」「なんであの子が」と、どんどん悪い考えに進みそうなときは、自分と同じ境遇にある、いとうあさこさんと飲んで慰めあう(笑)。

お酒の相手がいないときは、家でちょっとイヤらしめのDVDを見ます。「イヤらしいなぁ、これ」なんて言いながら笑ってると、意外と気持ちが切り替わっていたりする。あとは泣くことですね。近所のコンビニで安いワインと、おつまみを何品か買って、お気に入りのライブDVDをセッティングする。感情が上がってきたところで追い打ちをかけるような曲をかけて、ウワーッと泣くとスッキリします。

タレント 大久保佳代子さん
1992年に光浦靖子さんとお笑いコンビ「オアシズ」を結成。芸能活動のかたわら13年間OLを経験する。「2013年“最もブレイクした”と思うお笑い芸人」の1位に選ばれ、現在レギュラー9本を抱える。著書に『美女のたしなみ』がある。