「PRESIDENT WOMAN」2015年8月7日号(7月7日発売)の連載「潜入! 大人の女子会」では、国際女性ビジネス会議を取り上げます。
記念すべき第20回の開催を2015年7月26日(日)に控える今、会議の代表であり、20年前に立ち上げを行った佐々木かをりさんに、誌面では掲載しきれなかった運営の秘訣を聞きます。

※第20回会議のテーマや内容、第19回会議の写真については、「PRESIDENT WOMAN」2015年8月7日号に掲載しています。ぜひご覧ください。

スピーカーはすべて1人でキャスティング

「国際女性ビジネス会議」は、今では参加者約1,000人、ゲストスピーカーは50人を超える規模になりました。が、この会議の特徴は、スタッフはじめさまざまな方の協力はあるにせよ、これまでの20回すべて、ほとんど私1人でキャスティング、プロデューシングとアレンジングをして来た点でしょう。

国際女性ビジネス会議実行委員会委員長 佐々木かをりさん

スピーカーは、ほとんどすべて私がこれまでに知り合った方々。一人ひとりに私が直接お願いにうかがっています。たとえば、このテーマをAさんとBさんがしゃべると、こう盛り上がるだろう、そこにCさんが入ると違う分野の話が出てきていい化学反応が起きるだろうとか、話す内容やお人柄を私の中で組み合わせて、何回目だからこうかな、このテーマはこうかなと、時間をかけてプランニングしています。手間はかかりますが、これが面白い。

この会議は参加された99.9%の人が、「次回も来たい」という会議です。でも実際には子育てや出張などのため、過去に来たことある方の参加は4割で、6割が新しい方。しかも、たった1人でいらっしゃる。ですから、「楽しそう。でも、1人だし、ドキドキするな」と、たった1人で初めて来る方の気持ちになって、10時間の会議のプログラムをつくります。どんなふうに会場に入って、どんな気持ちでまわりの人と出会うのだろう。聞いた話がどう重なっていくのだろう、と時間軸も考えます。

午後に行う円卓会議は、時間をずらして第1セッションと第2セッションがあり、それぞれ5つのテーマから1つを選んで参加できる、つまり1人2テーマ選べるのですが、18歳の高校生もいれば、年収5000万円のCEOの方もいて、どんな人がどんな組み合わせで選ぶのかも考えます。いろんな状況の人が、その会場で10時間、どう楽しく過ごせるか。全員が楽しめて学べることをイメージしながら組み立てています。

主語を「私」にして自分の例を話す

テーマに分かれた円卓会議は、どれも驚くほど熱い。70分のうち、30分がパネル、40分が質疑応答、つまりディスカッションですが、これでも時間が足りないほど。1会議100人~300人いる中、たくさんの人が手を挙げるからです。

去年、私がファシリテータを務めた「保育を改革する! 為の自由討論」というテーマの円卓会議では、当時内閣府特命担当大臣の稲田朋美さんや、私を含め、政府の規制改革会議の委員もパネリストになっていただきました。参加者80人のうち何人もが手を挙げる。子供が保育園に通っているお母さんもいれば、保育士志望の学生や保育園設立担当の地方自治体の職員もいて、それぞれの立場で話をして、大いに盛り上がります。

イー・ウーマンサイトでは、発言の時に、アイ・ステートメントといって、主語を「私」にして自分の例を話す訓練しているので、会議でも発言が上手な人が多いと思います。

「みんな困っています」と言われても、困ってない人もいるわけです。でも「私は困っています」であれば、「どういうふうに?」と聞けます。だから議論が非常に具体的で、かつ多様性がある。稲田大臣も「こういうのはなかなかできない」と感心され、すぐに保育の規制改革会議に持ち込まれました。

また、5、6年前くらい前に「女性役員」をテーマにしたときは、その会議の参加者は30人。でも、内容がものすごく濃かった。その時代にそのテーマを選ぶ人たちが集まったわけですから当然です。今、女性役員のテーマには300人来ます。これもまた、時代の変化がわかって面白い。

朝よりツヤツヤ、キラキラ

去年一番若かった参加者は12歳の男の子。10時間会議に出てノートを取って発表していました。そんなふうに、志さえあれば誰でも楽しめますから、みなさんに来てほしい。どれだけ面白くて、ワクワクして、いっぱいお友だちができるかビックリしますよ。

「誰一人遅刻しない、眠らない、帰らない」国際女性ビジネス会議について語るときは、他の話題以上に熱がこもる。

夜のネットワーキングパーティでは、みなさん、何百枚も名刺交換して帰ります。開催後は、お礼状が届き続けます。「こんな人と出会ってうれしい」とか「福岡で食事会を2カ月に1回始めました」とか「ここで出会った人と仕事をしました」とか。年賀状もたくさん来ます。

会場は9時オープンなのに、7時半には行列ができています。しかも、静かに並んでいるのではなくて、並びながら前後ですでにネットワーキングしている。夜のパーティで、私との名刺交換にもワイワイと複数で来るので、お友だちかと思ったら「いえ、今、知り合いました」と言うんです。地域も仕事も年齢も違う方々が、あっという間に友だちになるのです。

誰一人遅刻しない、誰一人眠らない、誰一人帰らない。それは、半分は私の強い思いとスタッフ一同の運営力によるものです。どれだけの情熱と意図とをもってやっているかというのは、すごく重要だと思います。あとの半分は参加者の力。参加に動員はかけていませんから、一人ひとりが、意思をもって申し込んでいる。そんな人たちの集まりですから、お互いに「隣の人がすごく素敵だった」とか「あの人の質問がすごくよかった」となる。その体験が満足度を上げているのだと思います。

私は細胞エステと呼んでいますが、そこに1日いると、みんなきれいになるのです。心から、皮膚から、いいエネルギーを出している。全員の体からプラスのオーラが発信されている。すごく素敵な空間です。それは男性にとってもしかり。ある男性参加者からは、男性とネットワークをするのにとてもいい場だと言われたことがあります。わざわざこんな名前の会議に来る男性というのは、考えがとても柔軟で意識が高い人が揃っているからです。

第20回国際女性ビジネス会議は、2015年7月26日(日)10:00から開催。
詳細、お申し込みはホームページ(http://www.women.co.jp/conf/)をご覧ください。

佐々木かをり(ささき・かをり)
大学卒業後、フリーランスの通訳を経て通訳・翻訳・国際コミュニケーションコンサルティング等を行うユニカルインターナショナルを設立。同時にテレビ朝日「ニュースステーション」のレポーターもつとめた。1996年からは日本最大級の女性会議、「国際女性ビジネス会議」を主催。2000年にイー・ウーマンを設立。現在、上場企業の社外役員、財団等の理事、内閣府、経済産業省、法務省、文部科学省等の審議委員などもつとめる。時間管理の第一人者として手帳「アクションプランナー」を活用する「佐々木メソッド」による時間管理術は企業・学校でも活用されている。