2014年度の日経平均は約30%上昇

「最近、株が上がっているよね」「2万円までいくのかな? いかないのかな?」「バブルのときは4万円近くあったんだって!」「えっ、6年前は7000円台しかないの!?」。日本の株式市場を語るとき、こんな会話が普通に成り立つのは、私たちの頭の中に同じ目印(指標ということが多い)があるからです。

日本の企業の株価が全体的に上がっているか、下がっているかの見当をつけるため、ほとんどの人が指標としているのは「日経平均株価」です。新聞やニュースの最後に、「きょうの日経平均株価は○○○○円です」との報道もあり、投資家でなくとも日本経済の動きや景気を判断するうえで、日経平均株価は身近な存在となっています。

最新の日経平均株価(以下、日経平均)をみると、2014年度末の3月31日の日経平均は1万9206円で、昨年3月末より4379円高くなりました。計算してみると、日経平均は1年で約30%も上昇したことになります。年度末で比べると4年連続の上昇で、15年ぶりの高い水準です。

日経平均が上がっているからといって、景気がよくなったといえるわけではありませんが、株価が上がることは企業そのものの評価が上がるということです。また企業は資産として他企業の株を持っているので、株価が上がると資産が増えます。

日経平均は225企業の株で構成されている

では、そもそも日経平均とは何でしょうか?

日経平均とは、経済を主とした新聞を発行する日本経済新聞社が、東証一部に上場している約1700銘柄の株のうち、取引が活発で流動性の高い225銘柄を独自に選んで、その株価の平均を15秒毎に算出しているものです。売買高の多い銘柄を全業種からバランスよく選んだところ、この銘柄数になったということで、「225」という数に特別な意味はないそうです。

つまり、いち民間企業が発表している経済指標を、政府も、NHKも、民法も、ライバルの新聞社も、アメリカや中国の投資家も使っているのです。その歴史は古く、1950年9月に東京証券取引所が計算を開始し、1970年7月から日本経済新聞社が指数の算出・公表を引き継いだとあります。

225銘柄を挙げるのは割愛しますが、その中にはトヨタ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、NTTドコモ、ファナック、キヤノン、ファーストリテイリング、デンソー、武田薬品工業、東海旅客鉄道、セブン&アイ・ホールディングスなど、時価総額が大きめの業界トップクラスが入っています。つまりそれぞれの業界を代表する企業225社の株価の平均なのですから、その動きで経済の大まかな流れをつかめますよね。

日経平均の歴史を振り返り、自分の未来を予測しよう

ではここからは、日経平均の歴史を振り返ってみましょう。

「僕が就職した年には日経平均が3万8000円もあったんだよ……」と、ある投資ファンドのマネージャーが話してくれました。きっと、証券業界も連日、大騒ぎだったと思います。それは1989年年末頃で、日本のバブル経済の頂点です。1989年12月29日、日経平均は3万8915円の史上最高値となりました。

バブル経済とは、不動産や株などの金融商品の価格が実体経済の経済成長以上のペースで高騰し続けている状態の経済のこと。ちなみに「バブル経済」という単語は、1990年の流行語大賞の流行語部門銀賞を「受賞者該当者なし」で受賞しました。いまだにその言葉は生きていますよね。

過去10年間の日経平均の動きは、2004~2008年の4年間にわたり右肩上がりで上昇しています。この間に、第一次安倍政権があり、当時の日経平均は1万8000円台だったことも。2008年は北京オリンピックがあった年で、経済が上向きになり、派手な開会式を見ながら、「日本もやっと不景気から脱出できるのかな……」と思っていた矢先、2008年9月15日に、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻しました。

グラフを拡大
日経平均株価の動き(過去10年)

「リーマン・ショック」は世界的金融危機の大きな引き金となり、日本経済も大打撃を受けました。そのことは日経平均の動きにも克明に表れており、2009年3月にはバブル崩壊後の最安値で7000円割れ寸前。同年9月に民主党政権が第1党になりましたが景気の回復は見込めず……、日経平均は低い水準で横ばい。2011年3月に東日本大震災が発生し、原発事故が拡大した2011年3月15日の終値は8605円と前日比で1015円も急落し、その後も日経平均は低迷を続けました。

2012年12月、2度目の安倍政権になって日経平均は1万円台に回復しました。その後、日銀の金融緩和、消費税8%実施、円安、原油安、景気の回復など経済を構成するものはさまざまありますが、最近の日経平均は2万円台を狙う動きで、急激な右肩上がりで動いています。

しかし、経済は全体を見るものであってその日の株価に一喜一憂してはいけないのです。今後、日本の景気がよくなるのか、ならないのか、日経平均は上がるのか、下がるのか、新聞やニュースでは専門家がさまざまなことをいっています。しかし、私たちとしては、まずは自分の給料や家計が政治・経済の動きとどう繋がっているのか、そこから自分の未来はどうなるのかを考えることが大切だと思います。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。