困ったときにカードローンの誘惑が……

夏休みにお金を使い過ぎちゃった! ボーナスはもう残ってないし、年末のボーナスはまだまだ先。そんなときに限って結婚祝いが重なったりして……この秋はフトコロが厳しそう、と思っていませんか?

そんなときに目を引くこんなメール。「お金を使いすぎたあなたへ! 給料日までの強い味方! 詳細はこちら」。クリックすると、「カードローンのご案内」につながりました。そこには「アイフル」「アコム」「プロミス」と、消費者金融の有名どころが勢揃い。最近は街中で看板をあまり見かけなくなりましたが、ネットで活躍していたんですね。

「即日融資可能」「すぐに審査」「ネットで完結」――なんて便利! これではピンチのときに心が動くのも無理ないかも知れません。

10万円借りたら払う利息は9000円!

でも、簡単に借りるのは絶対にNG。借りたら当然、利息を付けて返さなくてはなりません。世の中は超低金利でも、消費者金融で借りると金利は年18%にもなります。もし10万円を年18%の金利で借りたら、返済が終わるまでにいくら利息を払うことになるでしょうか?

もし10万円を年18%で借りて3カ月(90日)後にまとめて返すとすれば、支払う利息は4438円。ただし、消費者金融などカードローンは通常、毎月少しずつ返済するリボルビング払い方式です。もし10万円を年18%で借りて、毎月1万円返すとすれば、返済回数は11回。総支払額は10万9018円で、支払う利息は計9018円にもなります。

銀行系カードローンは消費者金融と変わらない

「大手銀行のカードローンならもっと金利が安いのでは?」――確かに、大手銀行のカードローンには金利が年14.6%というところもあります。では、10万円を年14.6%で借りて毎月1万円ずつ返すとしたら? 返済回数は11回、総支払額は10万7280円、利息は計7280円。消費者金融と大きな違いはありません。

では、クレジットカードに付いているキャッシングなら? 大手カード会社のキャッシング利率は年18%のところが多く、消費者金融と同じ水準。借りるのに抵抗は少ないものの、うかつに借りると多額の利息を払うことになってしまいます。

借りるより持っているものを使うのが先

そもそも「お金がちょこっと足りないから、ちょこっと借りればいいや」と考えるのが間違いのもと。足りないときは、借りるのではなく、持っているものを使うのが大原則です。まずは使っていない銀行口座のお金や、引き出しにしまったままのお祝い金などをかき集めてみましょう。もし商品券やビール券などの金券があれば、金券ショップに持って行って現金化してください。

もう着ない服や使わないバッグ、アクセサリーなどをリサイクルショップに売るのもおすすめです。実は私、この夏に、ネットオークションのショップに段ボール箱2個分を送って4万円ほどゲットしました。部屋も片付いて一石二鳥!

定期預金があれば超低金利で自動融資

中には、定期預金を持っているのに「せっかく貯めたものに手をつけたくない」と考える人もいるようです。定期預金は解約すると普通預金の利子しかつきませんが、超低金利が続いている今は、解約しても大差なし。ただ、総合口座に入っている定期預金なら、解約しなくてもお金を借りることができます。

これは「自動融資(当座貸越)」というサービスで、定期預金を担保に、その金額の90%(最高200万円)まで借りられるというもの。金利はその定期預金の金利+0.5%なので、今なら年1%以下で借りられるはず。

もし自動融資で10万円借りる場合、金利年0.8%で3カ月(90日)後にまとめて返すとしたら? 支払う利息は197円で済む計算になります。

総合口座には普通預金がセットされているので、自動融資を受けるときはこの普通預金口座からお金を引き出すだけ。キャッシュカードを使うのももちろんOKです。普通預金の残高で足りない分が借り入れになり、引き出し後の残高はマイナスになります。返済するときは、この普通預金に入金すればそのまま返済に充てられます。

生命保険でもお金が借りられる

定期預金はないけど生命保険なら入っている、という人は、生命保険でお金を借りる方法もあります。これは「契約者貸付」という制度で、生命保険の解約返礼金を担保にお金を借りるしくみです。契約者貸付を利用できる保険は終身保険、養老保険、学資保険といった貯蓄型の保険に限られ、掛け捨て型の保険は通常、対象になりません。

契約者貸付で借りられる金額は、解約返戻金の6~7割程度で、金利はその生命保険で決められた予定利率プラス1~2%程度。生命保険の予定利率は現在年1.5%前後で20年前でも3%台ですから、カードローンなどに比べればはるかに低い金利で借りることができます。もし予定利率2%の保険で貸付利率4%で借りる場合、10万円を借りて3カ月(90日)後にまとめて返せば、支払う利息は986円です。

契約者貸付のしくみや手続きは保険会社によって違うので、証券番号を調べた上で生命保険会社に連絡してみましょう。通常、手続きしてから1週間程度で指定した口座にお金が振り込まれます。返済期限はありませんが、借りている期間中はずっと金利がかかるので注意が必要です。また、生命保険は目的があって加入しているはず。必要なときにお金が足りなくなったりしないためにも、なるべく早く返済することが大切です。

高金利のお金を借りるより親に頭を下げよう

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お金が足りないときの4ステップ

部屋を見回しても売れるものもないし、貯金も生命保険もない……そんな人は、最後の手段。親や家族に頭を下げて、お金を借りてください。そして必ず返すこと。「そんなのイヤ」と思うでしょうが、その状態で高金利のお金を借りたら、自転車操業になるのはまず間違いありません。下手をすれば借金がどんどん膨らんでしまうかも。そうなるより、ここで一度、イヤな思いをしたほうがいいと思うのです。

足りないお金を作るのは大変なこと。それより、買いたいときにちょっと我慢するほうがずっと簡単です。この秋をなんとか乗り切ったら、次のボーナスは計画的に使いましょう!

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。