新NISAで株式投資への関心が高まっている。銘柄選びにはどんなことに注意すればいいのか。資産1億円を築いたサラリーマン投資家で、『本命株が迷わず選べる! タイパ最強の「AI」高配当株投資』(日本能率協会マネジメントセンター)を書いたシバウラさんは「将来的に高配当株に育つ銘柄を見抜くことが大切だ。4つの条件に当てはまるか確認してほしい」という――。(第1回)

※本稿は、シバウラ『本命株が迷わず選べる! タイパ最強の「AI」高配当株投資』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。なお、本稿は特定の銘柄を推奨・非推奨したものではありません。

コインの山と上昇するパーセント記号に手をかざす人
写真=iStock.com/RerF
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「配当利回りランキングの上位」だけではNG

配当金をしっかり出す銘柄を探すためにあるのが、「配当利回り」です。配当利回りは企業が公表するものではありません。あくまでも企業は配当金の額を決めているだけです。配当利回りは、投資家がその株を買ったときに、どれくらいのリターンが得られるかを把握するための指標です。

そのため、配当利回りを確認して株を買えば、いくら配当金がもらえてリターンがどれくらいになるかが、おおよそわかります。

では、配当利回りを見て投資するだけでよいのでしょうか? 間違いではありませんが、それは現時点でのリターンに限った話です。

リターンは来年も同じになるとは限らないため、配当が増えればよいのですが、減る可能性も大いにあります。高配当株投資は長期投資なので、来年もその先も配当金が減ってしまっては困ります。

高配当株投資を始める際には、まず「配当利回りランキング」を見てしまいがちです。私自身もかつてそうでした。ランキング上位に入っていた銘柄を買ったこともあります。

しかし、これは今の配当利回りが高い銘柄を示しているに過ぎず、それだけを見て銘柄を選ぶのは危険です。配当金は企業の利益に連動するため、業績が悪化すれば配当が減る「減配」というリスクが常にあります。利益以上に配当金を出し続ければ、いつかお金がなくなって会社が立ち行かなくなります。

「高配当」は継続されない可能性

配当利回りランキングの上位には、利回りが10%を超える銘柄もあります。もし本当にその利回りが維持されるのであれば、株が買われて株価が上がり、配当利回りは自然と下がっていくはずです。それでも株が買われずに高利回りのまま放置されているということは、「いずれ減配されるだろう」と市場から見られているサインである可能性が高いのです。

1つ具体的な例を見てみましょう。こちら図表1は2025年5月20日時点の配当利回りランキングです。上位に並ぶダイドーリミテッドの配当利回りは11.1%と、一見すると非常に魅力的な数字です。

しかし、このような高利回りの銘柄には何らかの理由があることが多くあります。ダイドーリミテッドは、2024年7月に1株あたり5円だった配当金を100円へと大幅に増配したことで、利回りが跳ね上がりました。ところが2026年2月に今度は50円への減配が発表されました。その結果、2026年3月時点での配当利回りは6.0%まで下がっています。

配当利回りランキングの上位に並ぶ銘柄は、何らかの事情でその高配当が継続されない可能性があります。「利回りが高いから買う」という判断だけでは、こうした落とし穴にはまりやすいのです。

狙うべきは「将来、高配当に育つ銘柄」

高配当株投資のポイントを一言で言えば、今高配当の銘柄を選ぶのではなく、「将来、高配当に育つ銘柄を選ぶこと」と言えます。

では「将来」とはいつのことでしょうか? これはあなたが何歳から投資を始め、いつまで続けるかによって異なりますが、少なくとも10年以上の長期的な視点を持つことが必要です。

今の利回りが高くても、将来的に減配されてしまえば意味がありません。逆に、今はそこそこの利回りでも、毎年配当が増えていく銘柄であれば、将来的にあなたの買値に対する利回りは驚くほど高くなっていきます。これを「取得配当利回り」と言います。

少し勘違いしやすいのですが、増配されると株価も上昇することが多く、結果として見た目の配当利回りはさほど変わらないように見えることがあります。しかし実際には異なり、買った時点の価格に対する配当金の割合、つまり取得配当利回りは増配とともに毎年育っていくのです。

例えば、利回り3.5%で買った銘柄が毎年10%増配を続けると、5年後には約5.6%、10年後には約9.1%、12年後には約10.9%を超えていきます(図表2)。株価がどう動いても、自分が買った価格に対する配当金は毎年増えていく。増配銘柄に投資する大きな魅力の1つです。

「高配当に育つ銘柄」の4条件

では、「将来高配当に育つ銘柄」とはどのような条件の銘柄なのかを解説します。将来にわたって高い配当を出し続けてくれる企業には共通する特徴があり、それを大きく分けると、以下の4つになります。

将来高配当に育つ銘柄の4条件
①経営や事業が安定し業績が伸びている
②配当利回りがある程度高い
③基本的に増配傾向である
④増配率が高い

これらを順に見ていきましょう。

【条件① 経営や事業が安定し業績が伸びている企業】

まず、大前提となるのが、経営や事業の安定です。この土台がしっかりしていなければ、一時的に好業績を出せたとしても、長期にわたって安定した業績の伸びを維持することはできません。

どれだけ魅力的に見える銘柄であっても、経営や事業の基盤がもろければ、いずれ配当の減額や停止につながるリスクがあります。経営や事業がしっかりと安定しているからこそ、景気の影響などを受けながらも利益を長期的に積み上げ、右肩上がりの成長が実現できるのです。

【条件② 配当利回りがある程度高い】

これまでの説明で、今の配当利回りはあまり重要ではないような印象を受けたかもしれませんが、やはり現在の配当利回りを確認することも非常に大事です。

現在の配当利回りが高い銘柄を積極的に買う必要はありませんが、将来の配当金の成長を期待するとはいえ、株購入時点の配当利回りがあまりに低すぎると、高配当の状態に到達するまで膨大な時間がかかってしまいます。

例えば、配当利回り1%の銘柄が将来すぐに5%に届くかというと、それは簡単ではありません。着実に配当金を増やしてくれる企業でも、増配率はよくて10%程度です。配当利回り1%から毎年10%ずつ増配したとして、配当利回りが5%に到達するまでには17年かかります(図表3)。これではさすがに時間がかかりすぎです。

ある程度の配当利回りを最低ラインとして基準を持ったうえで、現在の配当利回りを確認する必要があります。

増配傾向、増配率をチェック

【条件③ 基本的に増配傾向である】

配当利回りがある程度高い銘柄が将来高配当に育つには、配当金が継続的に増えていく必要があります。

シバウラ『本命株が迷わず選べる! タイパ最強の「AI」高配当株投資』(日本能率協会マネジメントセンター)
シバウラ『本命株が迷わず選べる! タイパ最強の「AI」高配当株投資』(日本能率協会マネジメントセンター)

企業はそれぞれ株主還元に対する方針を持っており、ウェブサイトに配当方針が掲載されています。ただし、その文章を読んだだけでは、実際に増配傾向であるかどうかはなかなか読み取れません。

そこで、最も確実なのは、過去の配当金の推移を確認することです。株主還元を重視している企業は、急に還元方針を変えたりはしません。過去の実績が増配傾向であれば、今後も増配傾向が続くと考えて問題ありません。

ただし、それだけで判断を終えるのではなく、業績や財務の状況もあわせて確認することが大切です。

【条件④ 増配率が高い】

増配傾向にあることが確認できたら、次に注目したいのが「どれくらいのペースで増配しているか」、つまり増配率を見ましょう。

例えば毎年1%ずつ増配する銘柄よりも、毎年10%増配する銘柄の方が、将来受け取れる配当金に大きな差が生まれます。この増配率こそが長期投資における将来の配当金を加速させるカギとなります。

具体例で見てみましょう。今の配当利回りが3%で毎年10%増配する銘柄と、今の配当利回りが4%で毎年5%増配する銘柄があったとします。

一見すると今の利回りが高い4%の銘柄のほうが有利に見えますが、7年後には購入時の株価に対する配当利回り(取得利回り)が逆転します。

この図表4から、増配率の重要性がわかります。高配当株投資は長期投資だからこそ、今の数字よりも将来の成長を見据えた銘柄選びが重要なのです。