書店で本を選ぶ際には、何に注意すればいいのか。『誰でもできて100%仕事の成果が出る 速効読書』(青春出版社)を書いた石川和男さんは「仕事を楽にするためには、良質な本に出会うことが何よりも重要だ。時間とお金がムダにならないよう、立ち読みでぜひ注意してほしい5つのポイントがある」という――。(第1回)

※本稿は、石川和男『誰でもできて100%仕事の成果が出る 速効読書』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

本棚
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目的は「忙しさから抜け出し、仕事を楽にするため」

あなたは、なぜビジネス書を読むのでしょうか?

面倒な仕事をつい先延ばしにしてしまう。優先順位がつけられない。任せたいのに自分で抱え込んでしまう。忙しいのに成果が出ない。がんばっているのに報われない。将来への不安が消えない。このような悩みを、解決したいからではないでしょうか?

ビジネス書を読む目的は、知識を増やすことではありません。最後まで読み切ることでもありません。忙しさから抜け出し、仕事をラクにし、一度しかない人生を楽しむためです。

本は星の数ほどあります。年間8万部、1日200冊以上の本が世に出ていると言われています。それに対して、私たちの時間は限られています。だからこそ重要なのは「良質の本に出会うこと」、言い換えると、あなたにとって不要な本は選ばないということです。

立ち読みでチェックすべき5点

私は書店で本を選ぶとき、次の5ステップで「立ち読みチェック」をしています。

(1)タイトル:今の自分の課題や関心に刺さっているか
(2)目次:「新しい視点」と「共感」はあるか
(3)著者プロフィール:このテーマを書くにふさわしい経験や実績があるか
(4)はじめに:文章のテンポがよく、読み進めたくなるか
(5)おわりに:著者が本当に伝えたかった核心が感じられるか

この5つを確認するだけで、その本が今の自分に必要かどうかが判断できます。

【(1)タイトル:今の自分の課題や関心に刺さっているか】

書店で本を選ぶとき、最初に目に飛び込んでくるのがタイトルです。ここで引っかからなければ、その本はほぼ読まれません。読む以前に手に取ることもないでしょう。

タイトル、サブタイトル、帯なども読んで「困り事、興味がある、関係がある」「仕事」「時間管理」「人間関係」「お金」「健康」「思考法」「習慣」など、自分の悩みと直結するかを確認しましょう。

また、誰向けの本なのか。あなたの年代や環境に合っているかも判断してください。タイトルは、あなたの時間を使う価値があるかを判断する最初のフィルターです。

目次とプロフィールで「読む価値」を判断

【(2)目次:「新しい視点」と「共感」はあるか】

目次は、その本が「何を教えてくれるのか」「どこまで解決してくれるのか」を一目で示してくれる道先案内人です。ポイントは3つあります。

図書館で本を持つ
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1つ目は、悩みや課題が、そのまま章タイトルになっているか。2つ目は、「なるほど」「それが知りたかった」と思える具体性があるか。抽象的な目次は要注意です。3つ目は、読み終えた後の変化がイメージできるか。行動が変わりそう、仕事がラクになりそうと感じられる目次には、読む価値があります。ワクワクしない本は、成果につながりにくいのです。

【(3)著者プロフィール:このテーマを書くにふさわしい経験や実績があるか】

次に確認したいのがプロフィールです。その内容を語る資格があるかを判断します。たとえば、勉強法なのに「現在、行政書士試験に挑戦中、一緒にがんばりましょう!」と書かれていたらどうでしょう。まだ結果が出ていない人から教えてほしくないですよね。ダイエット本で「2キロの減量に成功!」とあったら、そんなノウハウはいらないとなります。

確認したいのは、すでに成果を出しているか、長期間その結果を維持しているか、あるいは多くの人を成功に導いてきた実績があるか。つまり、その本を書くに値する人物なのかを見極めることが必要です。

「はじめに」で相性を見極める

【(4)「はじめに」:文章のテンポがよく、読み進めたくなるか】

「はじめに」は、著者が最も力を入れて書く部分です。なぜなら、ここで読者の心をつかめなければ、その先を読んでもらえないことを著者自身が分かっているからです。

文章のテンポや構成、情報の分量感、文体の読みやすさ、それらが自分に合っていれば、本文も安心して読み進められます。

逆に話が散漫、何を伝えたいのか分からないと感じた場合、本はそっと書店の棚に戻しましょう。もちろん素晴らしい本でも、あなたとの相性もあります。100万部超えのベストセラーでもリズムが合わなければ、本文まで読み進めるのは大変ですよね。

「はじめに」は、自分と本との相性、そして最後まで読む価値があるかを見極める、最重要チェックポイントなのです。

本文より先に「おわりに」を読む

【(5)「おわりに」:著者が本当に伝えたかった核心が感じられるか】

小説の場合、結末を先に読む人はいないでしょう。しかし、ビジネス書では本文より先に読むべきです。「おわりに」には著者の思いが最も濃く詰まっています。なぜこの本を書いたのか。誰に届けたいのか。読者にどんな行動をしてほしいのか。ときには、本文では語りきれなかった本音や、失敗談、覚悟まで書かれていることがあります。

脳は予測する臓器です。人は、結論の見えない話にストレスを感じます。会話でも「何が言いたいのか分からない」とイライラしますよね。読書も同じです。この本は、どこへ向かうのか。何を伝えたいのか。それが分かれば、安心して読み進めることができます。

だからこそ、「はじめに」「目次」「おわりに」に目を通し、あらかじめ全体像をつかむ。これだけで、読書のストレスは大きく減ります。

書店で本を選ぶときもタイトルのインパクトや話題性だけで決めない。前述した5項目を確認してから判断する。それだけで時間とお金を無駄にする失敗は、格段に減ります。

ただし、ただしです! 迷ったら、買う。本との出会いは一期一会です。次に来たとき、その本が棚にあるとは限りません。たとえ今すぐ読まなくてもいい。積読して、あなたの手元にあること自体が未来を変えるきっかけになります。

「YouTubeの要約動画」を参考にする

本を購入する前にYouTubeなどの動画で内容をチェックし、そこで「読んでみたい」と興味を持ったら本を手に取る。これは忙しい人ほど取り入れやすい、現実的な本の選び方です。

iPadでYouTubeをみる
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ただし注意点があります。要約動画は必ずしも著者の主張そのものとは限りません。要約者の解釈や価値観が、無意識のうちに混ざっていることがあります。その結果、著者の意図とは違う形で理解してしまう可能性もあります。

さらにもう一点。購入の判断のために視聴するのはいいのですが、動画を視聴するだけで満足してしまうことです。

動画の最大の弱点は立ち止まれないことです。音声は心地よく流れ、次々と情報が押し寄せてきます。考える前に内容は通り過ぎてしまいます。1.5倍、2倍と倍速にしていると尚更です。

「立ち止まれる」のが本の醍醐味

以前、とあるオーディションで講師を選ぶ審査員をしたときの話です。他の参加者が流暢にプレゼンする中、ある登壇者の男性が亡くなった奥様のエピソードに差し掛かった瞬間、言葉を詰まらせ、……数秒間、沈黙しました。

書影
石川和男『誰でもできて100%仕事の成果が出る 速効読書』(青春出版社)

通常なら減点です。しかし、その「止まった時間」に観客は自然と考え始めたのです。「自分は、妻を本当に大切にできているだろうか」「子どもと向き合っているだろうか」「大事な人にきちんと感謝を伝えているか」「家族との時間を後回しにしていないか」「自分が突然いなくなったら、何を後悔するだろうか」と。

彼がもし流暢に話し続けていたら、そんな思考は生まれなかったでしょう。動画のように流暢ではない本なら、立ち止まり、考え、線を引き、行動につなげる言葉をノートに書き移すことができます。自分のペースで戻り、考えを深める余白があります。

動画はどうしても話が流れていき、同じように立ち止まって考えることは簡単ではありません。だからこそ、動画は入口として使い、じっくり考えるための内容は本を手に取る。この使い分けが必要です。