【相談内容】
「半年前に付き合い始めたカレが、突然『地元(兵庫県)に帰ろうかな』なんて言い出しました。地方出身の長男なんですが、正直“お買い損”でしょうか?」(29歳・ミキさん 派遣社員)
【牛窪恵さんの回答(後編)】
お祝い金100万円!
実はいま、地方によっては「うちの町に住んでくれれば、住宅費を一部免除します」とか「100万円単位でお祝い金を出します」など具体的なメリットを示して、誘いをかけるところもあります。
もし、カップルどちらかの出身地やゆかりの地にそうした特典があったり、「住んでもいいな」と思える地域に目指す仕事があるなら、それに乗っかってみるのも手かもしれない。貴重な将来人口を形成する若い2人を、手厚く迎えてくれることでしょう。
相談者のミキさんも、よく聞くと「スローライフには興味アリ」とのこと。
考えようによっては、家賃も物価も高い都会出身の男性より、いまのカレも含めた土地付き・地方出身者のほうが“お買い得”かもしれませんよね。
それに、内閣府のある白書を見ると、1977年から今日に至るまで、夫婦の圧倒的多数(55%前後)は「子ども2人」(12年「子ども・子育て白書」)。
単純に「男・男」「女・女」「男・女」の組み合わせの現状(確率)や、さらに0人やひとりっ子も15%程度いることを考えると(05年生まれまで)、一般には「長男」「長女」である確率は、それぞれ“7割程度”とされるようです。
つまり、「次男(長男以外)」は10人中3人程度しかいない。
それに、ミキさんのような20代女子から見て、「次男なら問題ないか」「長男こそが、地元(田舎)に帰りたがるのか」といえば、まったくそうでないことは、次のデータを見るとよく分かります。
7割の男子がUターン就職したい
それが、先のマイナビによる調査(13年)。
14年卒業(予定)の大学生(おもに20代前半)に聞いたこの調査で、「地元(Uターンを含む)での就職を(強くorどちらかというと)希望する」と答えた男子は、67%と約7割。
卒業した高校の地域別(おもに出身地別)に見ても、多少バラつきはあるものの、大きな差は見られませんでした。
さらに「なぜ地元(Uターンを含む)就職を希望するのか?」についての答えも、上の世代から見ると"意外"な答えが多い。図表にしてみたので、ご覧ください。
これを見ると、男子が地元での就職を望む理由、上位は
1位:地元の風土が好きだから(41%)
2位:両親や祖父母の近くで生活したいから(38%)
3位:地元での生活になれているから(34%)
となり、ミキさんが懸念する「長男だから(戻りたい)」は2割、「(親の意思で)地元で生活するよう言われているから」は、なんと6%しかいない。
事実、おもに現20~30代の親世代に当たる、現50~60代の親御さんたちも、「息子や嫁の世話にはなりたくない」と言い切る世代。ほとんどが“戦後生まれ”でいまふうの価値観なので、その上の世代に比べると、一般には「長男は墓を継ぐべき」とか「家業を継ぐもの」といった考えが弱いもの。
……以上を総合すると、婚活女子・ミキさんに送りたい3箇条は、次のとおり。
2. スローライフもアリなら、あえて「地方出身」の男子を狙うのも手!
3. 逆に結婚後、ミキさん自身が慣れた土地(地元)をどうしても離れたくないなら、最初から同じ地元出身の男子に絞って婚活せよ!
とくに3は重要。
イマドキの男子は、長男か次男か、どの地方出身かに関わらず、6~7割が「地元に帰りたい」「地元で働きたい」と希望しているわけです。
となれば、無難なのはやはり「同じ地元出身」の男子を探すこと。
というわけで、長くなりましたが、地元の自治体が主催するユニーク婚活や街コンへの参加は、いろんな意味でオススメですよ!
1968年、東京都生まれ。大手出版社勤務ののち、フリーライターとして独立。 2001年、マーケティング会社インフィニティを設立。定量的なリサーチとインタビュー取材を徹底的に行い、数々の流行キーワードを世に広める。『アラフォー独女あるある!図鑑』(扶桑社)など著書を多数執筆する一方で、雑誌やテレビでも活躍。10月末『大人が知らない「さとり世代」の消費とホンネ』 (PHP研究所)が発売。12月5日『「バブル女」という日本の資産』(世界文化社)が発売に。財務省財政制度等審議会専門委員。