【相談内容】

「この年齢だと合コンにも誘われず、結婚が遠のくばかり。ぶっちゃけ、“いい男”ってまだどこかに残っているのでしょうか?」(37歳・キョウコさん 住宅メーカー)

【牛窪恵さんの回答】

35歳で合コンに誘われなくなった……

キョウコさんは、連続ドラマ『あまちゃん』(NHK総合)で主役(天野アキ)を演じた女優・能年玲奈さん似の、“カワイイ系”の美女。年齢も、パッと見では20代に見えます。

にもかかわらず、35歳を過ぎてから「合コン」にまったく誘われなくなった。一般に、合コンのような初対面の場では「女性に年齢を聞くのはご法度!」とされているのに、おかしな話ですよね。人気の街コンでも、いまだに「35歳まで」と年齢制限を設ける会もあります。

もっとも、大抵その制限は「おおよその目安」でしかない。合コンを計画するお友達だって、メンバー選びの際に「35歳はOK、37歳はNG」と厳密に選別しているわけではないでしょう。

ただ問題は、キョウコさん側の婚活モチベーションが大幅に下がってしまったこと。

「婚活疲れ」というほど活動はしていないものの、合コンに誘われなくなった時点で「もうトシってこと?」と気分がアガらなくなった。

「ならば身近で、運命の出逢いがあるかも」と周りを見回しても、これという男性は見当たらない。ちょっと「いいな」と思って見ると、お約束のように、左手の薬指にリング(結婚指輪)がキラリ。

「あーあ、結局は出遅れちゃうと、“いい男”には逢えずじまいか」となる、よく分かります。

でも、なにも悲観することはありません!

というのも、病床心理学者のDr. セシリア・デ・フェリスによると、「女性は年齢を経るに連れ、男性の好みが変化していく」そう。

つまり、20代の女性が“いい男”と思うような男性はすでに売約済みでも、37歳のキョウコさんが、いま“いい男”と思う男性は、まだ残っている可能性があるわけです。

では、女性の“いい男”像はどのように変化していくのか。詳しく見てみましょう。

35歳で「男の趣味」は変わる!

たとえば、先のDr.フェリスが、世界最大級の出逢い系サイト「match.com」の利用者20万人のデータをもとに作成した、「LoveGeist study」。これによると、

◆18~24歳女性にとっての“いい男”像は……?
・最優先は、「友だちに見せびらかせることができる」男性
・47%が、女友だちが「いいね」と賛成する相手を探す
・音楽や映画、本など「共通の趣味」を有することが大事

◆25~34歳女性にとっての“いい男”像は……?
・最優先は、女性のキャリアと両立できる「長期的な関係」
・約3分の2が、「野心的な男性がいい」と回答
・外見やエッチ(SEX)の相性が、大きな決め手になる

◆35~44歳女性にとっての“いい男”像は……?
・人生に落ち着きを求めるようになり、「オトナ」な男性を好む
・73%が、「5歳以上年上の男性」を探す
・精神的豊かさを求める。社会生活になじめない男性は願い下げ

とのこと。

最近は一部、35歳以上でも、「男前オンナ」な女性を中心に“育てがいのある男の子”を求める動きもありますが、数としてはまれ。

恋愛はともかく「結婚」となると、やはり「頼れる」「包容力がある」「落ち着いた」男性に惹かれる女性が、圧倒的に多い。しかもその傾向が、年齢と共に高まるようです。

それなのに、女性の多くが「好みの変化」を“もやっ”としか自覚していない。キョウコさんもその1人。上記の「Love Geist study」を見せて「どう?」と聞いてみたところ、「言われてみれば、確かに当たってる!」と驚いた様子。

彼女も、つい何年か前までは「周りに『いいね』と言われる男性」にばかりこだわっていた。「共通の趣味がないと、話が合わない」とも思っていたそうです。

でも、いま改めて考えてみると、35歳を過ぎて「趣味が違っても、お互いにひとり時間を大事にすればいいや」と思う自分がいるとか。

「むしろいまは、ずっとベッタリがイヤ。趣味や接点が合う部分は一緒に、でも違う部分は、それぞれで楽しめばいいって思うんです」

フツーの男性は0.8%しかいない

つまり、35歳を過ぎたキョウコさんにとって、いまや相手の見た目はさほど大事じゃない。カレの趣味も、必ずしも自分と同じ必要はない。

こうやって考えると、相手に求める条件が“順位付け”できますよね。

実はこの“順位付け”は、とくに女性が未来の結婚相手を考えるうえで大事なこと、とされています。

というのも、先ほどの「Love Geist study」には“落とし穴”がある。

一般に、女性は25歳を過ぎると、徐々に「長期的な関係」や「オトナの男性」を求め始めます。これは、結婚・出産をより強く意識する年齢に入るなか、それまでに得た恋愛や仕事上の経験から、

◆「この男性は、見た目は良くても頼りにならなそう」
◆「仕事ができて良く稼いでも、浪費グセがありそう」

など、経験で得た「ダメなタイプ」を、好みから外していくようになるから。

それだけ出産・子育てに向けて、より安全な男性を探し始めるわけですが……。

ところが、「好みが変わった」とハッキリ自覚する女性は、意外に少ない。多くの女性は、10代後半~20代前半のころの条件、「友達に見せびらかせる」「共通の趣味がある」にこだわったまま、年齢を経るごとに“いい男”の条件がどんどん増えていってしまうそう。

これを放置したままだと、35歳を過ぎて
「いえいえ、私はぜいたく言ってるわけじゃないんです」
「フツーの相手でいいのに、そういう男性すら残ってないんです」
 となってしまうわけです。

でも、戦略コンサルタントで『普通のダンナがなぜ見つからない?』(文藝春秋)の著者でもある西口敦さんによると、「そもそも、イマドキの独身女性が言う「フツーの男性」自体が、世の中に0.8%しか存在しない」とのこと。

いわく、女性が望む「フツー」の要素は、「会話がフツー」「ルックスがフツー」など、おもに7つ。

次に「フツー」を50%と定義してすべて「必要絶対条件」として掛け合わせていくと、50%×50%×50%……となり、結果的には0.8%、つまり「1000人に8人」しかいない計算になってしまう。

そのうえ、さらに年齢を経て条件が増えていけば……。その“いい男”を探すのがどれほど大変か、想像に難くないですよね。

条件は、上位3つに絞るべし

だからこそ、女性は年齢の節目、節目で「さて、いまの私にとって“いい男”ってナンだっけ?」と、条件を考え直したほうがいい、と言われるのです。

これまでに私が取材した、複数の結婚紹介所の話を総合すると、“いい男”の条件は、できれば上位3つぐらいに絞り込むのがベスト。

キョウコさんは「うーん」と唸った末、次の3つをあげました。

1.優しくて思いやりがある男性
2.キョウコさんの仕事を認めてくれる男性
3.自分と同レベルか「ちょっと上」の年収を稼ぐ男性

では、1~3のような男性は「どこで」見つけやすいのか。

まず考えられるのは、職場や仕事関連。とくに1の「優しくて思いやりがある」は、初対面ではなかなか判断しづらいですから、長く時間を過ごして本性を把握しやすい“職場”が重要になってくるのは、間違いないでしょう。

それでも1~3に当てはまる“いい男”がいない場合。

たとえば結婚紹介所に頼るなら、2と3を最初から「必須条件」として提示する手がある。

つまり、共働きや「ちょっと上」の年収を条件としてフィルタリングした上で、残った男性達とお見合いしていく、というパターンです。

実はそれ以外にももう1つ、「ブルーオーシャン戦略」という重要な婚活戦術があるのですが……、それはまた、次の機会にお話ししますね!

ちなみに、生物学的に言うと、女性は“いい男”の好みが年齢と共に変わるものの、男性が考える“いい女”は、基本的にいくつになっても変わらないのだとか(空腹時にぽっちゃりした女性に惹かれる、など「一過性」の思い込みはあるようですが)。

そう考えると、男性のほうが“いい女”に出逢うのは難しいかもしれませんね。

牛窪 恵
1968年、東京都生まれ。大手出版社勤務ののち、フリーライターとして独立。2001年、マーケティング会社インフィニティを設立。定量的なリサーチとインタビュー取材を徹底的に行い、数々の流行キーワードを世に広める。『アラフォー独女あるある!図鑑』(扶桑社)など著書を多数執筆する一方で、雑誌やテレビでも活躍。10月末『大人が知らない「さとり世代」の消費とホンネ』(PHP研究所)が発売に。財務省財政制度等審議会専門委員。