※本稿は、土谷愛『13歳のときに知りたかった強みの見つけ方』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
「強み」が見つからない2つの原因
「自分の強みを見つけよう」とすると、遅かれ早かれ「他人と自分を比べる」という手段を考えつくはずです。
これは間違っていませんが、実はこの手段、取り扱いにかなり注意が必要なんです。
というのも、下手に「比べ方」を間違えてしまうと、「強みがわかる」どころか逆に「弱みが見えて自信を失くす」結果になりかねないから。
しかし、もしあなたが自分の強みを知りたくて、でも見つけられないのならば、すでにこの深みにはまってしまっているかもしれません。
そこで、次にあげる2つの「間違い」を避けることを強くおすすめします。
間違い①「自分のどこが他者より優れているか」を考える
同じ社会に生きていても、みんながみんな「同じ目的地」を目指しているわけではありません。
同じ教室で勉強していても進路がバラバラなように、同じ会社で働く仲間でも「仕事の目的」は人によってまるで違ったりします。
○子どものころから憧れていた職業に就いて、人を笑顔にする毎日を送りたい。
○家族の大黒柱として、月に数十万円の生活費や教育費を着実に稼ぎたい。
○いち早く成果を出して昇進して、「誰かに信頼される自分」になりたい。
○有名企業の大きなプロジェクトに携わって、社会にインパクトを残してみたい。
○最低限必要なだけの収入と柔軟な働き方を両立して、趣味を思いっきり楽しみたい。
○時間や休暇に融通のききやすい職場や働き方を選んで、子育てに力を注ぎたい。
これらはほんの一例ですが、「何が幸せか」が人によって違うからこそ、仕事の先に目指す目的地も十人十色。そう、実はみんな「ゴールが全然違うゲーム」をやっている、というわけです。
だから「自分のどこが他者より優れているか」が出発点になるべきではありません。
まずは「自分のどんなところが、目的地にたどり着くためのアイテムとして使えるのか」を考えるべきなのです。
「他者との比較」が有効なときもある
では、「自分のどこが他者より優れているか」を考えるべきなのはいつでしょう?
それは、自分が目的地にたどり着くために他者との「競争」や「協力」が必要な場合だけ。そのうえで「比べる相手」と「比べる項目」を明確にしておこなうべきものです。
たとえば「枠が決まったオーディションに合格して夢を叶えたい」という「競争」が目的なら、「ライバルよりもアピールできるポイントは?」と、他の候補者と自分の外見・スキル・性格・実績などを比較するのも重要でしょう。
あるいは「チームで目標を達成してインセンティブをもらいたい」という「協力」が目的なら、「お互いの得意分野で助け合おう!」と、これまたチームメンバーと自分の知識やスキルを比較して、最適な役割分担を決めるのも効果的です。
間違った比較が自信を失わせる
けれど、もしこのように「正しい比べ方」をしなければ、どうなるでしょう?
「他者より優れているか」ばかり気にして肝心な「自分の目的地」を見失ってしまうか、あるいはただただ自分が劣っているように見えて、意味のない劣等感を覚えることになってしまいます。
漠然と他者と自分を比べて、
「みんなよりも仕事が遅い自分に焦る」
「なんで自分はこうなんだろう……」
などと心にダメージを与えてしまっては、それこそ「持っている特徴」も「強み」として活かせなくなり、目的地にたどり着く前に心が折れてしまうだけです。
目指す「目的地」がそもそも人によって違うのですから、そこに向かうためのアイテム(=強み)だって、みんな違って当たり前。「自分の目指す目的地」に「他者との比較」というプロセスが絶対に必要かどうか? 心がすり減りそうな感覚を覚えたら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
間違い②「あの人と同じ目的なら、同じ強みを持とう」と考える
では、ちょっと応用問題です。
仮に同じ「目的地」を目指す人がいた場合には、「その人と自分との比較」は必須でしょうか?
たとえば、もしも、同僚が自分と同じ「家計のために年収800万円」という目標を掲げていた場合、はたして両者を比べるべきなのか? ですね。
この問題、わたしの答えはNOです。
「目的地」へのルートは、実はいくつも存在する
人はそれぞれ「持って生まれたもの」や「ここまでの道のりで得たもの」が違うのだから、「目的地を目指すルートやペース」も違って当然だからです。
たとえば、「家族のためにお金を稼ぐ」という同じ目的に見えても、そもそも家族の人数やライフスタイルによって、必要資金やお金が必要なタイミングは違います。
さらに、同僚が「社内の出世競争に勝って昇給だ!」と頑張り始めたとしても、あなたがその競争に乗っかる必要があるとも限りません。
なぜなら同じ「家計のために年収800万円」を目指すにしても、「昇給」というルートだけでなく、「転職」「副業」「夫婦共働き」「資産運用」など、他にもさまざまなルートがあるからです。
もちろん、自分に「管理職に求められるスキル」や「上司からの高評価」などの特徴がすでにそろっているなら、それを活かせる「出世ルート」を選ぶのはごく自然なこと。そのルートを選ぶなら「競争」が発生し、「同じルートを進んでいるライバルとの比較」をする(される)ことも当然あるでしょう。
しかし、繰り返しますが、重要なのはそのルート“だけ”ではない、という点です。「自分の持っている特徴が何か」によって、別のルートを選択するのもありなのです。
東京から大阪へ旅をするとき、予算があれば、新幹線や飛行機に乗れます。
でも、車の運転が好きな人なら、あえて愛車での旅を選ぶかもしれません。
「時間だけはたっぷりある!」と、鈍行列車や夜行バスで向かう人もいます。
自分一人ではなく、家族や友人を誘って車を出してもらう人もいるでしょう。
中には「学生時代のヒッチハイク経験から、乗せてもらいやすいコツはバッチリ」と、あえてヒッチハイクで挑む人だっているかもしれませんよね。
目を向けるべきは「他人」ではなく「自分」
「お金」を持っている人、「車」を持っている人、「時間」を持っている人、「人脈」を持っている人、「経験」を持っている人。
このように「自分が持っているもの」が違えば、選ぶルートが変わるのは、なんらふしぎなことじゃありません。
「楽しい旅にする」という目的が叶うなら、どれを選択しても間違いではないのです。
わたしたちは無意識のうちに「他者との比較」をしているものです。
ただ、「あの人はすごい」「あの人のようになりたい」という尊敬や憧れの気持ちが、いつの間にか「あの人のようにならなくては」「あの人と同じ特徴(スキル・知識・実績など)を持たなくては」という思い込みに変わっていないでしょうか?
ここまでお伝えしてきたように、わたしたちの人生には必ずしも「他者との比較」が必要なわけではない、ということをぜひ覚えておいてください。
まず目を向けてほしいのは、「他人の目的地」「他人の特徴」ではなく「自分の目的地」「自分の特徴」です。
