※本稿は、松原奈緒美『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
商談で取引先が漏らす“意外な決め手”
来客・訪問応対者は、会社の顔として応対をします。その応対によって、企業全体の印象が判断されます。
応対のマナーを知っていること、そしてそれを実践できることが大切です。
準備、出迎え、ご挨拶・名刺交換、お茶出し、お見送りなどの応対から、企業のお客様に対する姿勢や教育レベルがわかるものです。
つまり、担当者だけではなく、応対に関わる方すべてが一定レベルの対応ができるようにすることが必要です。
実際に、商談が成立した際に「どの方も適切な応対ができていたから御社に決めました」と取引先やお客様から言われたという話もよく聞きます。
本稿では、主な来客・訪問応対のポイントをお伝えします。
ビジネスコートは「裏地」が重要
コートには「防寒」と「汚れ除け」のふたつの意味があります。
相手の敷地に入ってからコートを脱ぐと、埃や花粉などを相手先に落としやすくなります。敷地の外で脱ぎ、中表にして持って入りましょう。
一軒家であれば門の前で、マンションなどであればオートロックのインターフォンを鳴らす前には脱いでおきましょう。
企業訪問であれば、該当する建物前やご案内者とお会いする前には脱いでおきます。
また、脱いだコートを中表にすると裏地が外側にきます。裏地が派手すぎるもの、汚れや破れがあるものは避け、ビジネスにふさわしいものを着用しましょう。
なお、脱いだコートは背もたれにかけるなどせず、小さくたたみ、鞄の上に置きます。置けない場合は、自席の脇などにたたんで置いておきましょう。
帰る際も、コートは敷地を出てから着用してください。
このマナーは外出先でも同様です。特に飲食が伴う場面では、店舗内のテーブル付近で着脱すると、ほかのお客様にも不快感を与えたり、ご迷惑をおかけすることがあります。周囲への配慮を怠らないようにしましょう。
「2回ノック」がNGなワケ
ノックの回数にもマナーがあります。2回ノックは日本ではトイレノックとされています。トイレ以外の場所では、基本は3回がビジネスノックです。
2回ノックで入ると、「マナーを知らない人だな」という印象を与えますので、ご注意ください。
4回ノックをされる方もいるでしょう。これはプロトコールマナー(国際儀礼)に基づいたもので、フォーマルノックとされています。
ノックのし方も大切です。ノックは第一印象です。室内にいる方は、ノックを聞いて相手を想像し始めているものです。
例えば、弱いノックは、聞き取りにくいと同時に、気が弱そうな印象を与えます。強すぎるノックは威圧的な印象を、早すぎるノックはせっかちな印象や、怒っているようにも感じられます。スピードやリズムに配慮してノックをするとよいでしょう。
ノックのコツは、手の使い方です。軽く手を握り中指の第二関節を使い、手首のスナップを効かせながら行うとよいでしょう。
扉の厚さなどにより、強さはコントロールし、「トン、トン、トン」と、室内の方に適度な強さとスピードで聞こえるように行いましょう。
鞄は「隣の椅子」に置いてはいけない
訪問先などで鞄を置く際は、置き場所にもご注意ください。隣の椅子の上などに勝手に置くのはマナー違反です。また、テーブルの上はもってのほかです。これは、それぞれの使用目的を考えれば明白です。
テーブルは、飲食もする場所です。仕事用のテーブルであっても、ドリンク程度は召し上がるのではないでしょうか。そのような場所に、床に置くこともある鞄を置くのは不衛生と受け取られます。また、周囲に「雑な振る舞いをする人」という印象も与えるでしょう。たとえ自社内でも不快に感じる方はいますので、テーブルの上は避けるべきです。
椅子は座る場所で、鞄を置く場所ではありません。特に訪問先では、床に置くこともある鞄を勝手に椅子の上に置くのは相手の持ち物を汚すと受け取られるため、大変失礼な行為です。
相手が「お荷物置きにご利用ください」などと言った場合を除いては、鞄は足元の床に置きましょう。逆に、お客様をお迎えする際は、置いて良い場所があれば具体的にご案内すると親切です。
畳の部屋などでは、畳の上に鞄をそのまま置くのは畳を汚してしまう恐れがあるので、風呂敷などを敷いてから置きます。
名刺交換は、偉い人から順番に
名刺交換は、最初に行う挨拶です。ここで良い印象を与えることは、今後の良好な関係構築にもつながります。名刺交換は、隔てのない場所で、訪問者や目下から先に名乗って渡すのが基本です。基本のお渡し方法は次のとおりです。
①名刺入れから名刺を出し、相手側に向ける
②名刺を胸元に構え、会釈程度の姿勢をとる
③アイコンタクトをとり「○○会社の○○と申します。よろしくお願いいたします」と名乗りながら名刺を両手で差し出す
受け取る際も、両手で「頂戴します」と受け取ります。
胸の高さで持ち、アイコンタクトをとり「○○様でいらっしゃいますね。よろしくお願いいたします」とお名前を復唱し、ご挨拶します。お名前を呼ぶことで、相手の承認欲求も満たされ、名刺交換での印象が向上します。
互いに名刺を持っている場合は、同時交換を行います。名乗ったところで、左手に名刺入れ右手に名刺を持ち、相手の名刺入れの上に載せるように差し出しましょう。
なお、複数名で名刺交換を行う際は、立場が上の方から順番に行います。順番が異なると相手が戸惑いますのでご注意ください。
手土産を渡すのは、先か、後か
訪問時、手土産を持参する場合は、最初のご挨拶後にお渡しするのが基本です。
持参する際の袋は、汚れ除けと運搬用です。そのままお渡しするのではなく、袋から出して相手側に向けて両手で丁寧にお渡しします。
相手先ではなく、外出先でお会いする場合などは、相手が運搬する袋が必要な場合もあるでしょう。その際は、お渡し用のきれいな袋を用意し、お渡し前に入れ替えておきます。その際のお渡しのし方は、
・あえて袋のままお渡しする場合「袋のまま失礼いたします」
なお、クレーム対応時は、先に手土産をお渡しすると、もので済まそうとしている印象を与えることがあります。謝罪を受け入れていただいた後にお渡ししましょう。
品物の選び方も、相手に配慮して選びたいものです。「人数」「保存が容易なもの」「賞味期限」「召し上がる際にご負担をかけないもの」「選んだ気持ちが伝わるもの」を選ぶようにしましょう。
例えば、会社へ訪問する際であれば、常温保存で賞味期限がある程度あり、分けやすい個数で個包装になったものを、自社近くで用意するとよいですね。
