電子ダグを利用した無人レジ決済の問題点

これらはどのような仕組みなのか。まずは電子タグを商品につけ、ローソン専用のエコバックにその商品を入れて最終的には無人レジや無人ゲートを通過して自動的に決済するというものだ。専用エコバックは顧客が購入するのかあるいはローソンが貸与するのかはまだ検討中だという。

「エコバックの中に電子タグの自動認識技術が埋め込まれていて、ゲートを通過すると、スマホと連動して自動的に決済するというものです。購入したあとはラインなどでレシートが確認できるようになっています」

電子タグはこのほかにもいろいろな場面とで利用ができる。

「電子タグで個品管理などもできますし、在庫管理なども簡単にできますし、お店の在庫情報を外部に出し、お客様により正確な商品情報を提供できます。賞味期限の情報と在庫情報を紐付けることでディスカウント戦略などにも使えると考えていますし、食品の廃棄ロスにもつながります」

しかし現段階ではこの仕組みを利用できない事情がある。

「1つは電子タグの価格です。現在は1枚あたり15円。ローソンで一番安い10円のチロルチョコにはこの値段では貼れません。これを1円程度には引き下げる必要があります。そしてもう1つは電子タグを誰が貼るのかという問題です。PBなら我々がある程度貼ることができますが、ナショナルブランドの商品に我々が貼るというわけにはいきませんから、メーカーにお願いしなければなりません」

この2つの大きな問題をクリアしなければならないわけだが、すでに電子タグのビックスリーとの間で、技術革新などで2円までは確実にコストダウンできる手ごたえを得ているという。誰が貼るのかという問題も、既存の製造ラインで貼ることができる電子タグのシールをメーカーとともに開発したという。しかも燃えるごみとして処理できる電子タグを開発したという。

「ゴールは2025年ですが2022年には実用化できるとみています」(谷田氏)

このほか電子棚札やロボットによる接客などの研究にも力を入れている。

店内で接客や商品アピールを行う接客ロボ。

「棚に大きなモニターを設置して、棚札用のスペースにも電子表示できるような棚を開発しています。棚には赤外線の幕のようなものをつくり、お客様が棚に近づき商品を手に取ると商品の説明などが動画でモニターに表示されます。また、棚自体が大きな商品のPRツールになり、店舗を使った新しいマーケティングや広告媒体としての機能にも大きな期待を寄せています。このほか店舗でレジロボが商品の説明をするような仕組みも検討しています」

今後、IoTがすべて人にとって代わっていくのか。

「すべてIoTでできるわけではないのです。人と人との出会いはIoTではできません。あくまでも既存の店員さんが働きやすくするためのツールなんです。IoTで仕事がしやすくなった分、お客様との交流を深めていく。そんなコミュニケーションが今後のコンビの大きな課題なのではないでしょうか」

こうしたローソンの取り組みが果たしてコンビニの在り方を大きく変えるのか、今後の実用化が大いに注目される。