医系専門予備校メディカルラボ 本部教務統括
数多くの医学部・歯学部志望者を合格に導いてきた豊富な経験をもとに、医学部受験についての指導メソッドを構築し注目を集める。近年はメディアにも多く出演。そのメソッドを紹介した著書『「医学部受験」を決めたらまず読む本』を時事通信社から出版。
1 そもそも、どうすれば子どもが医師に興味を持つの?
家族の病院体験をきっかけに、医師に興味を持ち始める子どもが多いようです。大切な身内に親身に接してくれ、病気やけがを治療する。そんな姿に憧れて、というパターンですね。他には、医療ドラマや漫画がきっかけというケースも多い。このように、きっかけは何でもいいのです。医師に関心を持ち始めた子どもは、本などでさらに深く医療について知っていくでしょう。
なかなか興味を示さない子どもには、テレビや新聞などで取り上げられる医療系のニュースが役立ちます。気になる情報に接したら、「あなたはどう思う?」と親から子どもに話しかけるといい。そうすれば、だんだん興味を示すかもしれません。言うまでもなく、無理強いはいけません。大切なのは、医師になりたいという本人の思いです。いくら親が医師を薦めたとしても、本人にその気がなければ学力も伸びにくいものです。
2 スマホに夢中な子どもに、勉強の習慣を身に付けさせるには?
子どもは小さければ小さいほど親のまねをするものです。だから子どもがスマホやタブレットで遊んでばかりいるのなら、親がスマホを見なければいい。親がスマホに夢中だと、子どもも同じように夢中になってしまいます。親は子どもの前ではスマホを見ないようにするとか、見る時間を決めるとか、ルールを決めるといいでしょう。
勉強の習慣も親次第です。資格を目指すなど、親自身が勉強する姿を見せると子どもにも良い効果が表れるでしょう。また、親が率先して本や新聞を読む姿を見せるのもいい。大学入学共通テストをはじめ、昨今の試験問題には読解力が必要です。そのためには長文を読みこなす力を付け、語彙も増やさないといけない。そこで役立つのが本や新聞です。これらを読む習慣が身に付いていれば、大きなアドバンテージとなるでしょう。
3 医学部を見据えた勉強のポイントは?
医学部受験では数学や理科といった理系科目が重要です。その土台として、小学生のうちから計算力をしっかり養いましょう。丁寧に計算すること、そしてミスをなくすために計算の工夫をすることが大事です。例えば「28×125」という問題を目にしたとき、「125に4を掛けたら500になるぞ」とひらめく子どもがいます。28を「7×4」に分けて「7×4×125」とすれば、「7×500=3500」と筆算せずとも楽に答えを導けます。こうした能力を伸ばしていくことが重要です。
また、医学部受験においては英語も大切な科目です。大学入試に求められる英語力は、文法を正しく理解して、適切な語彙を使い、論理的に文章を書く力です。文法の知識をいかに使いこなせるかが問われるので、会話重視の英語を磨くよりも読み書きと文法の知識をしっかりマスターしましょう。
4 学力以外で医師に必要な要素は?
医師にはコミュニケーション能力が求められます。患者さんに治療方針などを説明するとき、医師が自分の考えを一方的に押し付けるようでは患者さんのためになりません。医師は患者さんに寄り添い、必要に応じて患者さんの考えていることを読み取ったり引き出したりしないといけない。初対面の患者さんの気持ちをくみ取るのは難しいけれど、医師には必要な力です。だからこそ医学部受験では、そうした素質の有無を見極めるために面接が重視されています。

コミュニケーション能力とは、相手の言うことに耳を傾け、内容をきちんと理解し、的確に反応できる力のことです。そうした能力を伸ばすには、子どものうちからいろいろな人と関係性を持つことが大切です。友達や家族だけに限らず、課外活動やお店などで多様な人と触れ合うことを生活の中で意識しましょう。
5 医学部受験に関する情報収集で親が押さえておくべきことは?
センター試験が大学入学共通テストに変わったように、親世代が経験した受験と今の受験ではさまざまな仕組みが異なります。常に新しい情報にアップデートし続けることを心掛けましょう。その際、ネットや口コミでの出所や根拠が不明な情報に惑わされないようご注意ください。手前みそになりますが、メディカルラボのように医学部入試に特化した予備校の情報をチェックするといいでしょう。
6 医学部で学ぶために必要なお金は?
国公立の医学部で学ぶと、学費は6年間でざっくり350万円。ただし教材費もかかるので、実質は450万円近くのお金が必要になると考えておきましょう。私立は近年学費が下がる傾向にありますが、とはいえ2000万〜5000万円の幅で推移しています。比較的学費の安い大学の入試には優秀な受験生が集まるため、それだけ難度も上がり入学が難しくなります。
家計への負担を減らすためには、奨学金の情報を集めましょう。例えば、卒業後に大学の指定する病院で働くことを条件とした地域枠を使うことで、私立でも国公立と変わらない金額で通えるケースがあります。その他、生活費も援助してもらえるなどさまざまな奨学金が公開されているので、大学の公式サイトなどで確認しましょう。
7 家庭と塾・予備校の役割分担は?
家庭では生活面にも注視してほしいですね。過保護にせず、子どもの自立と自律に向けた日々の行動を促すのは親の役割です。身の回りのことは自分でする、あいさつをする、遅刻しないといった当たり前の行動を、子どものうちにきちんと身に付けさせましょう。いずれも医師に求められる大切な要素です。
自ら勉強を教えたりアドバイスしたりする保護者も多いようです。しかし、そのアドバイスはなかなか子どもに届かないもの。親子だからこそ素直に聞けなかったり、親が自分の考えを押しつけすぎたり、あるいは親の持っている情報が古かったりと、理由はさまざまです。いろいろ心配でしょうが、勉強面は受験のプロに任せてほしいと思います。
子どもが医師になりたいと本気で考えていたら、医学部受験のプロが集まる医系専門予備校を検討してみましょう。中高一貫校に通っている場合、高校受験がなくて中だるみしがちな中3の学年が、予備校に通い始めるタイミングとしてお勧めです。高校受験をされた方は、中高一貫校よりも速いペースで数学・英語の勉強を進める必要があるため、高校に入学してすぐのタイミングで予備校に通い始めるのが良いと思います。

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