仕事においても人生においても、自分が指揮官であり、お金と時間をコントロールできている。何より、お金そのものではなく、仕事を追いかけている。それが1桁上の額を稼ぐ人たちの特徴。彼らのところに、お金が集まるのは、自然の理法があるからという。安岡正篤、松下幸之助、稲盛和夫らにも共通する法則を、8つの項目に集約した。いずれもが、ビジネスパーソンが今日から胸に留め、実践できる考え方と習慣だ。
仕事で成功して富を手にした人にその要因を尋ねると、「運がよかっただけ」という答えが返ってくることが少なくありません。企業研究の名著である『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』は、理想の指導者の条件として「成功を収めたときには窓の外を見て、結果が悪かったときには鏡を見る」をあげています。稼ぐ人には窓の外、つまり外部環境のおかげでうまくいったと、謙虚に振り返る人が多いようです。
同じ成功者でも、うまくいったのは自分の実力のおかげだと考える人は危険です。鏡ばかり見ている人は環境の変化になかなか気づけないし、気づいても自分に都合のいいように解釈して現実から目をそむけてしまう。またせっかくまわりからいいアドバイスがあっても、人を信じていないためにまわりの知恵を生かすことができない。これでは環境の変化に対応できずに淘汰されてしまいます。
一方、謙虚な人というのは変化を素直に受け入れて、それに合わせて自分を変えていくことができます。自分のエネルギーの向く方向を世の中の流れに合わせていくと、こんどは世の中のほうが自分を大きくしてくれます。社会というのは世の中の流れに抗う人でなく、流れを加速させる方向で力を発揮する人にチャンスを与えるからです。
大切なのは、まわりの環境をまず、あるがままに受け止めることでしょう。環境が悪いと文句をつける人がいますが、極論すると環境は順境、逆境のどちらでもいい。順境にいる人は順境を、逆境にいる人は逆境を生かせばよいのです。
環境を素直に受け入れるという点で、成功する人は運命論者の一面を持っています。しかしすべて運まかせではなく、与えられた条件でやるべきことはやろうと努力しています。「人事を尽くして天命を待つ」。やるべきことをやり尽くしたからこそ、うまくいったときに謙虚に「運がよかった」と感謝できるのです。