9年で上場。急成長の理由とは?
「いつも心がけているのは、目標を明確にすることと、その実現に向けて戦略をきちんと立てること。でもそこまではじつは2割にすぎません。目標設定が1割、戦略立案が1割として、残りの8割は実行力だと思います」
日本最大級の不動産・住宅情報サイト「HOME’S」を運営するネクスト。その代表取締役社長の井上高志氏は、同社の成長の要因をこのように話す。
ネクストの創業は1997年。ITを基盤としたベンチャー企業が次々に世に現れ始めたころだった。大学卒業後、不動産会社に勤務していた井上氏は、早くからインターネットの利便性に着目し、「すべての人にベストな住宅を紹介したい」という思い一心で、住宅情報サイト設立へと動き出した。
人々のITに対する意識、ネットワーク環境ともに未熟だった創業当初は、まさに困難の連続だった。しかしながらインターネットの普及とともにネクストは急成長を遂げる。会社設立から9年で東証マザーズに上場、さらに3年半後には東証一部に上場を果たす。ネットベンチャー隆盛の時代だったとはいえ、これほどまでに急成長を遂げた例はまれだ。その理由こそ、井上氏が語る“実行力”にある。
「他社と違うのは実行のスピードです。人数は少なかったけど、その分実行のスピードはかなり速かった。私は企画も営業も、それからサービスのプランニングもしましたし、社内にはとてつもないスピードでプログラミングをしてくれるエンジニアがいました。同業他社が1年かかっていることを、私たちは数カ月でこなしていたように思います。開発を内製化して他社の半分の時間で仕上げるという実行力が、私たちの成長の一番の理由だと思います」