寄せられる悩みの多くは「大量のEメール処理」

英語に悩むビジネスパーソンは多い。上司が外国人に代わった。「TOEIC」の点数が昇進の条件。社内の公用語が英語になった――。私も英語講師として様々なケースを見てきたが、その経験からすると、ビジネスの現場で求められる能力は「読み」と「聞き取り」のようだ。

特に「大量のEメールを処理しなくてはいけない」という相談が多い。学習教材の広告などを見る限り、「ネーティブのように話せるようになりたい」と願う人は依然として多いようだが、重要な仕事であればあるほど「口約束」では済まされない。メールでやり取りを記録しておくのは、英語でも同じだ。

愛用中の電子辞書「SII SR-G10001」。落下事故を防ぐため手製のクッションを装着。

メール処理で重要なことは、「意味のわからない単語があってはいけない」という点だ。会話であれば、曖昧な理解のまま進めることができる。単語100語のうち10語程度が不明でも大きな問題にはならない。しかしメールでは、1語でもわからない単語があれば、重大なミスにつながる恐れがある。

こうした能力を確認できるという点でTOEICは有用だ。試験ではビジネス英語に必要なリテラシーが問われる。「日常会話は流暢だがTOEICのスコアは低い」という人はいても、「メール処理は的確だがスコアは低い」という人はいないだろう。「ライティング」と「スピーキング」は問われないが、「読み」と「聞き取り」のできる人は、どちらにもすぐに対応できる。その人の英語能力を完全に測るものではないが、「足切り試験」としてはよくできていると思う。

英語のキモはとにかく単語を覚えることにある。英語は他の言語に比べても単語の数が多いため、どうしても学習の中心は単語学習になる。