カスタマイズ力を発揮し
ビジネスパートナーに!

では、この「リコール・トータルサービス」は、どのような仕組みで“カスタマイズ性”を担保しているのだろうか。実はこうしたサービスでは、支援メニューの“パッケージ化”が一般的だ。しかし、「リコール・トータルサービス」では、利用企業側が必要な機能を9つのメニュー(下図参照)から選択できる。例えば「社内にコールセンターがあるから、その機能はいらない」「データ管理は自分たちで行う」など、顧客自身のニーズに応じてサービス内容を組み立てられるのだ。

こうした柔軟性が広く受け入れられ、「すでに数百社と事前のマニュアル作りなどについて協議を進めている」と笹森部長は言う。もちろん「リコール・トータルサービス」は、リコールや自主回収が発生する以前に佐川急便と契約することが可能。何より初動が重要となる万一の事態に備えて、体制やマニュアルなどを整備しておくことは、経営戦略上、欠かせないリスクヘッジといえるだろう。

そしてもう1つ。「リコール・トータルサービス」の価値を支えているのが、佐川急便のグループ力だ。昨年3月に同サービスを専門に扱うリバース・ソリューション課を新設するとともに、全国各支社とグループ各社に専任者を配置。SGホールディングスグループのシナジー効果が十二分に発揮できる仕組みをつくり上げた。問い合わせを受け付けるコールセンター業務は「SGシステム」、回収した製品の保管・検品業務は「佐川グローバルロジスティクス」、さらに「SGムービング(旧 佐川引越センター)」が廃棄などを担当。産業界に広い顧客基盤をもつ佐川急便を軸にグループ各社が有機的に連携し、抜群の安心感を提供している。

佐川急便は、顧客企業が抱える多様な課題に応えるなかで、新たなソリューションを次々と生み出している。(営業部 リバース・ソリューション課)

「サービスの根底には、当社の基本理念である顧客第一主義があります。『佐川急便さん、こんなことできない?』とお客様から相談されたとき、既存サービスがなくても『こうした形なら可能です』と提案し、共にソリューションを構築していく。セールスドライバーが現場を熟知し、最前線で課題解決にあたっていることも、当社の強みなのです」(笹森部長)

例えば、免許証やパスワードなどで本人確認した後に荷物を配達する「受取人確認配達サービス」は、佐川急便が業界で初めて手がけた。また近年の情報セキュリティの意識浸透を受け、同社の「飛脚特定信書便」や「飛脚セキュリティ便」の扱いも急増中だ。

「顧客ニーズはもとより、市場や技術動向、法制の変化なども取り込みながら、『どんな役割を果たせるか』を考えるのが当社の使命。10年後、私たちはよりいっそう『物流』の枠組みでは語りきれないグループになっていることでしょう」と笹森部長。多様化する経営課題に応えるビジネスパートナーとして、佐川急便がどのようなソリューションを生み出すのか。これからも注目だ。