日本で生まれ育ち、昭和の英語教育を受けて大人になったあなたが、一念発起して英語をやり直すことにした。限られた時間の中で効率よい学習方法で、英語を自分の言葉にしよう!
ビジネスパーソンの英語学習効率を
最大限にするには
英語の学習とひとくちにいってもやり方は十人十色。インターネットを調べてみると、いわゆる「メソッド」はウジャウジャあって、途方に暮れるかもしれない。
学校ではどのように学習したのか、思い出してみよう。それは多くの場合、教科書の英文テキストがあり、一度、目読してみて知らない単語や表現があれば辞書を引き、使われている文法を知り、日本語に訳してみて理解する、という方法ではなかっただろうか。昭和の英語の先生がよく使っていたメソッドで、「文法理解と訳読メソッド」などと呼ばれるものだ。
しかし、就職して英語を使うことが必要になったとき、このメソッドで養った英語力は、読むこと以外にあまり使えないことにはもうお気づきになっただろう。「文法理解と訳読メソッド」は、英文を読んで理解する力はよく伸びても、聞き取り力と運用力が育ちにくい。パッシブ(受動的)に英語を入力していながらも、アクティブ(能動的)に出力する練習が不足しているのだ。車の運転の仕方を教習本だけで理解しているものの、実技練習が不足しているので、車道に出たら交通事故を起こしてしまうのと同じような状態である。
英語は理解しただけでは使えるようにはならない。加えて運用練習をすることではじめて車道にスムーズに乗り出すことができるのに、パッシブ状態のまま終わっている「宝の持ち腐れ」タイプの大人を、昭和の英語教育は生み出した。そして、ここに注目して対応することが、あなたにとって一番効率的な英語やり直し学習の鍵である可能性が高い。
私は日本人の大人の英語に何度も触れてきたが、特にビジネスパーソンには「持ち腐れている」はずの宝の腐敗が意外と進んでいない人が多いことに気づいた。さすがは十代の柔軟な脳みそで英語を吸収しただけのことはある。そして、その後も働き続けているので、たとえそれが日本語であれ、仕事で言語脳を使い続けているためかもしれない。英語の知識が眠っていることはあるが、本人のやる気次第では、掘り出し、磨き直して、使える英語にすることは可能なのだ。
そういった人に座右の銘にしてもらうべく考えた言葉が、「栗とあんこの羊かん」プロセスだ。教材となる英文を「繰り返し、暗記して、用いて、慣れる」ということだが、略して「繰暗用慣」と言うと下手な故事成語みたいなので、もっと楽しいイメージを喚起させる「栗とあんこの羊かん」プロセスと名づけた。
適した英語学習メソッドは人によって異なる。自分に最適なメソッドは試行錯誤しないとわからないので、英会話スクールに行き始めたり、書店の語学書セクションを歩いてみて「これならできそう」と思う教材を買うなど、なんらかのきっかけをまず作り、後は自分にあったものを徐々に見つければいい。しかし、どんなメソッドを選ぶにせよ「栗とあんこの羊かん」出力練習プロセスを取り入れることは、昭和の英語教育を受けた日本人の大人の学習を能率化できる可能性が高いはずだ。