ヒューマンスケールの都市で
飛躍へのチャンスをつかむ

それぞれの視点から「これからの都市のあり方」を探る髙島宗一郎・福岡市長(右)と藻谷浩介氏。

髙島 私は「アイランドシティ」、ひいては福岡市全体の目指すべき将来像を分かりやすく描きたいと思っています。そこで産学官、さらに民も加わった「福岡地域戦略推進協議会」を立ち上げ、成長戦略に基づく具体的な「絵」を示せるよう取り組んでいます。

藻谷 それを皆で共有するにも、福岡市なら都市の規模が大きすぎない。違った意見の方々が小異を捨てて大同につき、まとまりやすいでしょう。私は「アイランドシティ」と従来の市街地との役割を明確に分け、例えば天神の賑わいや勢いが消えない「絵」を望みます。食べ物が安くておいしく、人々が親切で優しい。そんな福岡のまちは、いつまでも変わることなく残ってほしいですね。

髙島 ありがたいご助言です。

藻谷 そして、国内にいながらアジアの風を肌で感じられる地域であることが、福岡市の際立った強み。しかもトップクラスのグローバル企業は、ヒューマンスケールの都市に本社を置く例が多いという事実もある。経営者の皆さんは、玉石混交の情報に惑わされかねない大都市だけでなく、そこから一定の距離を置いた福岡のようなまちを選ぶ戦略にも注目すべきでしょう。

髙島 いま福岡は、災害に強いまちとしても拠点性が高まっています。また福岡空港は来春、九州初となる欧州直行便が就航し、シンガポール便が「毎日運航」へ増便するなど、路線が充実していきます。「アイランドシティ」は空港へ車で約15分と、グローバルビジネスに最適な立地です。さらに進出企業向けの支援策も拡充しました。産業集積を進め、成長力にあふれるまちを目指したいと思います。