結婚はしなくてもいいと気付いた

それでも、24歳のときに結婚を意識した人とのお付き合いもあったそうだ。付き合っていた頃から気も合っていたし、3年ほどの交際期間のなかで「この先、一緒にいられたら結婚したいね」と口約束をしていた。そのうちに、結婚するものだと信じていた。相手は、Kさんと付き合っているときでさえ、デートに誘ってきたり、あからさまなアピールをしてきたりする女性が常にいるほどモテる人だった。

Kさんも彼にとても魅力を感じていた。だからこそ、いつも相手に合わせようとしてしまう自分がいる。付き合う友達も、考え方も、できる限り彼に合わせ続けた。しかし、そのなかで、一緒にいる時間が長くなればなるほど、自分らしさが失われていくような感覚になったという。結局、すれ違いの末に別れることになった。

海辺での失恋の様子
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破局後、失恋を忘れるために、合コンに参加したり友達に紹介してもらった人とデートを楽しむ機会は何度もあった。でも、うまくいかない。初対面の相手との価値観の違いや気遣いのなさに傷つき、無理をしている自分に気がつく。もちろん、自分のことを気に入ってくれる相手もいたが、どうしても心から好きにはなれない。交際や結婚に向かって頑張らなくてはいけないことに疲労感を覚え、30代後半ごろから出会いの場から遠ざかって「結婚はいいかな」と思うようになった。

周囲からは「跡継ぎになってくれる人」を求められた

もともと、周囲からは「跡継ぎになってくれる人じゃないと」「長男はだめだね」と言われるような家系であったし、交際相手も家族に認められる必要があった。特に父親は跡取りを連れてくるはずの長女であるKさんに異常なほど固執してきたという。

家からの呪縛から解放されたい。結婚しないと決断することは、ひとりで生きていくことを選択するのと同じ意味を持つ。それなりの覚悟がいるだろう。それでも、Kさんは結婚に対する必要性を感じなくなってから、肩の荷が下りた感覚になったという。