足りない栄養は夕飯で補う

――しかし週4で100%冷凍のときは、やはり栄養は一から手作りのときより下がるのでしょうか?

【成田さん】加工されている食品が多くなるので、意識はしたほうがいいですね。だから昼がお弁当なら、その夜に足りない栄養を補えるような物を出すと。

――なるほど。昼だけですべてを賄おうとするのでなく、もっと大きいスパンで、ということですね。お弁当に冷凍食品を使う時に注意したほうがいいことはありますか?

弁当作りは栄養士でもつらい

【成田さん】やっぱり揚げ物、揚げ物と連続しないようにする。だから焼いただけの魚とか。あと冷凍食品ではないんだけど、冷凍魚を焼いて入れてあげるとか。そういうのもやってほしいですね。

まあ弁当なんてですね……。しょうがないんですよ(笑)。弁当作って持たせるだけで、充分立派だと思います。だから学校給食はすごくよかったんですけど、夏休みは本当につらくて。

わっぱのお弁当
写真=iStock.com/yumehana
※写真はイメージです

――塩分の取りすぎなどについても、特に気にしなくて平気ですか?

【成田さん】うちは気にしなかったです。「食べない」となるほうが問題なので。塩分まで気にできるのであれば、気にしてあげてほしいですね。できないのであれば、「できなくていいよね」と。

で、塩が多い料理って、どちらかというと味噌汁などの汁物なんですよ。だから弁当に汁物がなければ、全体の塩分量がその分抑えられるので、大丈夫じゃないかなと思います。

――管理栄養士の成田さんをして「大変」と言わしめる弁当作りだが、「力の抜きどころ」や「ちょっと配慮しておきたいポイント」などのプロからの提言は、多くの親にとって有意義なものとなるのではあるまいか。また、成田さん自身が弁当作りの大変さと向き合いながらも、「いかにして手を抜くか」や「子どもを飽きさせない献立の考案」を楽しんでいる姿が印象的であった。

成田 崇信(なりた・たかのぶ)
管理栄養士

1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書『新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK』(内外出版社)を執筆。共著に『各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと』(メタモル出版)、監修として『子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ』(オレンジページ)などに携わっている。

武藤 弘樹(むとう・こうき)
ライター、ミュージシャン

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。