「手抜き」をポジティブな食育の一環に昇華させる

今回は外食やコンビニ食を利用する際に工夫できることがいくつか見つかった。栄養バランスに配慮すると同時に、“子どもへの誠意のポーズ”や「連続性を極力なくす」といったことを念頭に置くのが肝要である。これらが実践できれば、必要以上に罪の意識をもつことなく外食・コンビニ食を利用できそうだ。

また、子どもに主体的にメニューを選ばせることで、子どもの理解度を測り、食育を直接施す有益な機会とすることもできる。

「親・保護者の手抜きのため」とだけ考えると外食・ファストフードの利用は後ろ暗く感じられがちだが、日々奮闘する親・保護者にとっては手抜きするシーンも子育てにおいて必要な一幕である。

適切な考え方と距離感で外食・ファストフードと向き合うことで、それまでネガティブに捉えられていたものをポジティブに活用することができるかもしれない。親としてはぜひ全てをいい方向に調整して、「この手抜きもポジティブな食育の一環」と胸を張れるようにしたい次第である。

成田 崇信(なりた・たかのぶ)
管理栄養士

1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書『新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK』(内外出版社)を執筆。共著に『各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと』(メタモル出版)、監修として『子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ』(オレンジページ)などに携わっている。

武藤 弘樹(むとう・こうき)
ライター、ミュージシャン

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。