最大手企業経営トップのセクハラ3連発

石油元売りのダントツ最大手であるENEOSグループの、それも経営トップにおいて、このところ立て続けに3件のセクハラ辞任・解任が明るみに出て、「あの会社の風紀は大丈夫なのか」とあきれられている。

まずホールディングスでは、2022年8月に会長とグループCEOを務めていた杉森務氏が「一身上の都合」で辞任。その実情は、杉森氏が沖縄の飲食店で女性のドレスの中に手を入れて胸を触ったりキスを強要したりした上に胸の骨を折って負傷させるなどし、女性側から訴えられた性加害であったとデイリー新潮が報じ、明らかになった。

続いて23年12月には、杉森元会長に「即時の辞任」を求めた張本人のはずの斉藤社長(当時)が、他の役員も同席する懇親会の場で「度を越して飲酒し」、同席した女性に酔って抱きついたと内部通報で不適切行為が発覚、解任されたのもまだ記憶に新しい。

そして今年2月、今度はグループ会社ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)会長(当時)の安茂氏が、飲み会で女性の体を触るなどの行為をしていたとの内部通報があり、やはり女性へのセクハラを理由に解任。

「ENEOSトップ」「セクハラ退任」の組み合わせで既視感たっぷりに3連発、との事態に、今回のJRE安前会長の解任報道には「あれ? 前にもあったよね?」「ENEOS何回目だよ……」と、あきれる声ばかりが一斉にあがった。

「懲りないセクハラ企業」のイメージ

再発防止策が機能していたとはとても思えない、トップのご乱行ぶり。杉森元会長が外部の店でやらかしたから、偉い人たちみんなで外部での振る舞いには気をつけていたけれど、そのぶん鬱憤うっぷんがたまって内部の懇親会や飲み会では社員や関係者にハジけちゃったのだろうか? そしてここにきてやっと、「ウチの上層部、ええ加減にせえよ」と内部通報が機能し始めたのだろうか?

でも普通、内部通報に至る前に、周りが「社長、それNGですよ。ブッブー」とトップの行動を止めたりたしなめたりブレーキをかけるものじゃないのか。それともトップの乱行を、上の機嫌ばっかり取っている役員たちが止められない、みたいな風土なのかな。しかもトップがのびのびとそんなことやってるということは、役員も同じ体質で、これは氷山の一角に過ぎない、とか?

「社の体質改善が起きない限り、今の役員人材のプールから玉突きで新しいトップを出したところで、セクハラ辞任の数が更新されていくだけじゃないの……?」

日本石油と東燃ゼネラル石油、業界内の2大名門ブランドによる大胆な合併によって生まれた巨人に、実に不名誉極まる「懲りないセクハラ企業」とのイメージが刻まれたのである。

ENEOSのガソリンスタンド
写真=iStock.com/tupungato
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