変動金利が上昇する前にやっておくべきこと

但し、目先、追加利上げはなくとも、マイナス金利解除と同じタイミングか、おそらく年内に、日銀は、「長短金利操作」いわゆる「イールドカーブ・コントロール」の修正あるいは撤廃に踏み出すと考えられる。その結果、長期金利(10年物国債金利)は上昇していくだろう。となれば、固定金利タイプの住宅ローン金利も、現状よりも上がることになる。

これから、新規に住宅ローンを借り入れる人にとっては、ますます変動金利と固定金利の金利差が広がり、変動金利の相対的な魅力が増すことになる。しかし、これからは過去と違って、変動金利の引上げが現実味を帯びてくることから、その準備は怠れない。新規に変動金利を組むなら、借入限度枠いっぱいまでの借入れは避けて、さらに、ある程度の貯蓄は残しておく必要があるだろう。

また、すでに変動金利で借入をしている人は、コツコツと繰り上げ返済をしたり、将来の変動金利の引上げに備えて貯蓄に励むことが求められる。これを言うとガッカリした表情になる人が少なくないが、あまり余裕資金がない人は、くれぐれもNISAなどでの投資はやらないこと。個人にとっての住宅ローンは、一般的に考えられているよりも、高いリスクを負担しているからだ。

松岡 賢治
ファイナンシャルプランナー/マネーライター

1963年生まれ。89年東京都立大学法学部卒業。証券会社のリサーチ部門等を経て96年独立、97年ファイナンシャルプランナー資格を取得。クレジットカードをはじめ資産運用・投資関連等の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』(SBクリエイティブ)、『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本』(ソーテック社)など。AllAboutガイド。