企業価値向上を左右するキーワード「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」。その重要性は認識しながらも、いまだ踏み出せない日本企業は少なくない。その理由について丸紅グループのコンサルティングファーム、ドルビックスコンサルティングの新家谷功一氏は「そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)の段階でつまずいている」と指摘する。
新家谷 功一(しんけや・こういち)
ドルビックスコンサルティング株式会社
マネージングディレクター

気候変動や生物多様性をはじめ、サステナビリティ関連のテーマは多岐にわたる。規制や開示基準が間断なくアップデートされるなど、企業を取り巻く状況は常に変化、複雑化している。

「一部の先進企業はビジョン、事業戦略の再構築に取り組み、グローバルレベルの潮流に追随しています。一方で取り残されるリスクに直面している企業は非常に多いと見ています。SXはデジタル変革の実践と経験が前提です。DXが道半ばの企業が、サステナビリティとビジネスの融合を図るのは難しいでしょう。変革の遅れは単なる売り上げの減少や業務効率の低下にとどまりません。社会的に強く求められる非財務情報の可視化、サプライチェーン/バリューチェーンのプロセス変革、グリーン事業の創出など、自社事業を世の中に適合させ、存続を目指す上で、SXとDXは連続的な課題として捉える必要があります」(新家谷氏)

グローバルな視野を生かし日本企業の変革に最適解を

そうした課題を解決し、企業のサステナビリティ推進における「連鎖+加速」を後押しするのが、ドルビックスコンサルティングが展開する「SXアクセラレーション支援」だ。新家谷氏が説明する。

「総合商社の丸紅が食料品、アパレル、紙・パルプ、化学品など、国内外の幅広い業界で培ってきた膨大な知見とネットワーク。デジタルによる事業変革支援に特化したコンサルティングファームである当社の豊富なナレッジ。それらを掛け合わせたサービスが特徴です。川上である資源、川中の素材や機械の卸売り、そして製品やサービスを最終消費者に届ける川下まで、世界には大小さまざまなバリューチェーンの流れがあり、相互に影響を及ぼしています。資源循環、サーキュラーエコノミーにシフトする速度も増していくでしょう。当社は世界中で今起こっていることを俯瞰ふかんし、その中でどのような事業リスクが予測できるのか、いかなる立ち位置での戦略が有効なのかを見極め、攻めと守りの双方の強化に向けて伴走します」

支援では強力なデジタルツールを駆使する。「当社が独自に開発したSXデータステーションを用いて、ERPではカバーできない非財務情報のデジタル化、活用促進が可能です。中小企業も含めた全プレーヤーの支援に向けて、人材の拡充、ケイパビリティーの向上に努めているところです」

原動力は「日本の良さ、力をもっと引き出したい」という思いだという新家谷氏。「既存のベストプラクティスが最適解とは限りません。一社一社が抱える課題を丁寧に拾い上げながら、日本企業の文化を生かした変革を、皆さんと作り上げていきたいと考えています」