投資で得た利益は“不労所得”ではない

私が2002年にネット取引を始めてからしばらくたったころ、MBS(毎日放送)の関西ローカル「ちちんぷいぷい」という、いまはもう放送していない情報番組に出させてもらったことがあります。

2002年、初めてパソコンを購入しネット取引を始めたシゲルさん
写真=川瀬典子
2002年、初めてパソコンを購入しネット取引を始めたシゲルさん

そのとき、ゲスト出演していた考古学者の先生から、「そんな不労所得で儲けようとせずに、ちゃんと働きなさい」と言われてしまいました。いまでも日本人は、株に「ギャンブル同然」「危ないもの」「楽して儲けられるもの」という先入観を抱いている人が多いですが、当時はなおさらでしたからね。

でも「不労所得」なんてとんでもない。収入に見合うだけの働きはしているつもりです。頭がいいからといってラクに儲けられるわけではありません。日本でいえば孫正義さんや村上世彰さんは、頭の良さでいえば別格だと思いますが、彼らだって間違うことはある。

東大を出てようが米国の大学を出てようが、そんなことは関係ないんです。

株を始めたばかりのころには、たまたま勝って小金を手にすることもあるでしょう。

株で勝つために必要な“頭の良さ”より重要な要素

株は「上がるか、下がるか」なわけですから、要は丁半ばくちという側面があることは確かです。何も勉強しない状態であっても、勝つこともあります。

ただし、最初から勝ってばかりなのもよくないと思いますね。なまじ勝ってしまって、そのまま調子に乗って大金を投じてしまい、財産を失ってしまう人はたくさんいます。

ただ、株の勉強を怠らなければ、頭のいい人たちにも勝てる大きなチャンスに恵まれます。たとえ、その人たちと同じ会社に入ったとしても、出世のスピードでは大きく差をつけられるかもしれない。

けれど、投資の世界は「仕事ができるか」とは、また別の世界です。

もちろん、株に向いている人、向いていない人というのはいます。頭はいいほうがみ込みは早いでしょう。

ただそれ以上に重要なのが、最初は負けたとしても、「よし、勉強するチャンスをもらった」と思って「なにクソ!」と奮起できるかです。

奮起できる人は、あとにつながります。株は自分が買ったら下がり、売ったら上がることがよくあります。そういうものなんです。

そんな世界で勝負しようと思っているわけですから、「失敗してナンボ」ですよ。失敗の過程も、道が開けるまでのチャンスだと思ってぜひ楽しんでください。

いまは昔と違って、ずいぶんと株の取引が簡単な環境になりました。

70年近く株の世界で生きてきて、最高の時代だと思います。この本を読んでくれた方も、興味があるなら、まずは始めてみたらいかがでしょうか。

まずはやってみる。いくらか損したとしても、そこから学びを得て、自分なりのやり方を確立させていく。この本では私のやり方をお教えしましたが、もっとインターネットを駆使するなど、やり方は人の数だけあります。