子どもの数に見られる経済格差

「貧乏子だくさん」このような言説を誰もが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。実際にテレビ等でも節約生活をしながら多くの子どもを育てている「大家族」の特集番組を目にすることもある。しかしながら、子どもの有無についても、交際や婚姻同様、経済的影響を強く受けることがわかっているのである。

例えば、子どもを持たない人の割合は、1943~1947年生まれの男性では14.3%、女性では11.6%であったが、この数字は1971~1975年生まれの男女では、それぞれ39.9%、27.6%にまで増えている。1971~1975年に生まれた男性は実にその4割で子どもがいないのである。さらにその増え幅は一様ではなく、特に年収の低い層での割合増加が大きい。年収300万円の層では子どもを持たない割合が25.7%から62.8%に増えているのに対し、年収600万円の層では、6.9%から20.0%への増加である。

さらに詳しく見ていくと、1971~1975年に生まれた男性で子どもがいない割合は、年収0~99万では67.6%、100万~299万では58.2%、300万~499万では40.2%、500万~799万では29.4%、800万以上では13.0%と明確に年収との関係があることが見て取れる(年収が高くなるほど、子どもがいない割合は小さくなる)。さらに、三人以上子どもがいる割合を見ると、年収0~99万では7.2%、100万~299万では9.7%、300万~499万では10.9%、年収500万~799万では14.8%、年収800万以上では19.6%と、こちらも年収が上がるほど多子世帯の割合が増えることもわかっている。

子供の数のグラフイメージ
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女性の学歴と子どもの人数に相関がなくなった

また女性の学歴と子どもの有無についても興味深い結果が出ている。1956~1970年の間に生まれた女性では、大卒の人では大卒未満の人と比べて子どもを持っている人の割合が少なかったのだが、1971年以降に生まれた場合は、大卒と大卒未満で差異は見られなくなっているのである。つまり、女性の高学歴化が少子化につながっているという傾向というのは見られないのである。

北欧諸国ではむしろ逆転現象が起きていて、40歳時点での子どものいない割合は、むしろ高所得女性のほうが少なくなっている。日本ではこのような逆転現象までは見られていないものの(学歴と子どもの有無に相関がなくなったものの、高学歴女性のほうが子どもを産むような傾向にまでは至っていない)、今後日本の傾向がどのようになっていくのか、注視が必要であろう。