3つ目は「資産は基準額以下であること」。ここでいう資産とは、預金や車のことなどを指します。建前上、資産がある人はこれがなくなってから生活保護を受けることができます。ただし、預貯金は生活費の半月分以下なら認められ、具体的には大体5万円前後になると思います。

以上の3つの条件で受給資格は満たされます。生活保護を申請する、と聞くと、小難しいものをイメージする人が多いのですが、本来はこのように、とてもシンプルでハードルも高くありません。

ところが世間ではなかなか受給できないイメージがあります。それはなぜでしょうか。

生活保護費用のうち、4分の3は国が出していますが、4分の1は事実上自治体が捻出しています。お金に余裕のある自治体なんてほぼありませんから、彼らとしては少しでも生活保護者を減らしたいという思惑があります。

最近、芸能人の親族が不正受給の報道などもあり、世論の風向きも芳しくありません。役所は世論にとても敏感です。ですから生活保護の申請に来た人たちを役所の職員が、窓口の時点であれこれ理由をつけて追い払ってしまうことがまかり通っているのです。特に知識のない高齢者などは、いいように丸め込まれてしまいます。このため、本当に生活保護を受けなければならないような人が受けられなかったり、高齢者が餓死したり、病院にもまともに行けず、自宅でひっそりと孤独死をしてしまったりするケースも出ています。何度も申請しているが、門前払いにされたりして、必死に我慢している人が8割、必要な人で実際に生活保護を受けている人は2割にも満たないと言われています。

しかし、役所に申請の拒否権はそもそもありません。さきの3つの条件さえ満たしていれば、法的に必ず生活保護を支給しなくてはならないのです。先ほど、条件を満たしたうえで「申請しなければもらえない」と述べましたが、裏を返せば「申請すれば必ずもらえる」ということなのです。