尿失禁の対策

40歳以上の女性の4割以上が経験しているともいわれる尿失禁。他者に相談するのは恥ずかしいとひとりで悩んでいる人も多いようです。そもそも尿失禁とは、本来用を足すべき場所以外で尿がもれてしまうこと。女性の尿失禁で最も多いといわれているのが「腹圧性尿失禁」(くしゃみや咳、重いものを持ち上げたときなどおなかに力がかかったときに起きる尿もれ)です。そのほか、「切迫性尿失禁」(急に尿がしたくなり、我慢できずにもれてしまう)、「溢流性いつりゅうせい尿失禁」(尿の出が悪く、少しずつもれ出てしまう)、「機能性尿失禁」(身体機能の低下や認知症が原因で起きる)などのタイプがあります。

困ったときは、泌尿器科や「尿失禁外来」がある病院などに相談してみましょう。また尿がもれるタイミングを把握するために排尿日誌をつける方法があります。時間ごとに尿量(計量カップや尿パッドを活用して計る)、尿もれの様子、水分量などを記録することで排尿のパターンがわかり、外出の際の対策も立てられます。腹圧性尿失禁は肛門や尿道・膣だけをしめてゆるめる「骨盤底筋体操」を継続することで改善する人もいます。

元気な90歳が続けている認知機能の低下も防ぐ口のケア

私は2~3カ月に一度、定期的に歯科医院に通っています。歯や歯肉の状態、虫歯の有無などを歯科衛生士に確認してもらい、プラークスコア(歯の磨き残しの割合)が高いときには、繰り返し歯磨きの指導を受けます。2022年6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」には「国民皆歯科健診」が盛り込まれましたが、こうした国の動きとは関係なく、自主的に通っています。

歯科治療のイメージ
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歯科医がおこなった調査によると、口のケアをおこなった高齢者は、そうでない高齢者と比べ、肺炎や発熱の発症率が低かったことがわかりました。さらに口のケアをおこなうことで認知機能の低下が予防できたという報告もあります。日頃お世話になっている歯科衛生士の話では、90歳で元気に歯のチェックに通っている方もいるとか。80歳になっても20本以上自分の歯を保つことを目標にした8020運動ということがいわれてきましたが、年を重ねると「口は万病の元」という言葉が実感を伴って理解できるようになります。先々の健康のために定期的な歯科医院通いは今後も続けるつもりです。

【図表】かかりつけ歯科医院の有無と認知症発症との関係
※『自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)より