悩みすぎないようにしたら30歳になって妊娠が判明

そのとき立ち直れたのは、「明日死んじゃうかもしれないから悔いのないように、なんでもやりたいことをやっておこう」という意思だった。

体力回復期に、パソコン関係の資格を取得し、行く予定だった留学も、計画すべてをこなした。

「いま思うのですが、悩みすぎないことも大事ですね」

最近、三島さんは妊娠が判明した。化学療法はやっていないので、妊娠や出産に及ぼす影響はほとんどないと思われたが、妊娠にとてもネガティブな感情があったという。

「がんにかかったことで自分が欠陥品だって思ってしまうようになりました。体調が悪くなったら、やはりがんのせいだ、とか。そう思っていたので正直、妊娠できたのはとてもうれしいです。まだ初期ですが、飲んでいる薬のことなど、医師と相談しながら大事に育てていきたいです。

がんの経験者に対しても、私はこういう経験をして、今こういう状態です。こうやって乗り越えて元気にやっているから、大丈夫だよ、一緒に頑張ろうと、寄り添っていけたらいいと思っています」

「がん患者には普段通り接し、病気の話も聞いてほしい」

清水理事長は次のように話す。

「職場では、がんにかかった人がいるからと、腫れ物に触るように接するのではなくて、普段通りでいいのです。『がん治療のことを知らないから、何に配慮すればいいのか率直に教えてほしい』というぐらいの感じで接するほうがいいと思います。

一方で、患者さんには、病院で悩み事を話してみていただきたい。こんなことを病院に言っても仕方ない、とあきらめずに、進路でも結婚、妊娠、お金のことでもなんでも話してみてほしい。病院では患者さんと対話しながら、地域のリソースを活用して患者さん自身が解決できるような支援をしていく必要があります。AYA世代の実情に合ったサポートができるように、医療機関がAYA世代の支援のハブとなるよう頑張っていきたいと考えています」

2人に1人ががんにかかる時代。AYA世代のがんにも目を向け、社会全体で考えるようになるといいと思っている。

樋田 敦子(ひだ・あつこ)
ルポライター

明治大学法学部卒業後、新聞記者に。10年の記者生活を経てフリーランスに。女性や子どもたちの問題を中心に取材活動を行う。著書に『コロナと女性の貧困2020-2022~サバイブする彼女たちの声を聞いた』『女性と子どもの貧困』『東大を出たあの子は幸せになったのか』(すべ大和書房)がある。NPO法人「CAPセンターJAPAN」理事。