我慢ならないときは集団で訴える

そのうえで、犯罪とまではいかなくても、自分の信念に反していたり「おかしい」と思うようなことがあれば、いきなり外部ではなく、上の人に意見してみるとよいと思います。ただこの場合も、同調圧力の強い会社だと、一人で物申しても相手にされません。「みんな我慢しているんだから、あなたも我慢しなさい」と言われたら、おしまいです。ですから、同じように思っている仲間をなるべく多く集めて訴えましょう。

また最近は、中小企業でも社内に通報窓口を置いているところが多いですから、そこに相談するのも手です。ただし、通報窓口業務が外部に委託されているのか、社内の人が対応しているのか、さらに社内で対応しているのであれば対応部署にどれだけ力があるのかによっても対応が変わってきます。しっかりと調べてから行動に移すことをお勧めします。

社内でどうにもならないときは、厚生労働省の「労働基準監督署」や「総合労働相談コーナー」に相談に行くとよいでしょう。

くれぐれも、一人で抱え込んで孤立しないようにしてほしいと思います。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。