自慰行為と比べてリアルな恋愛はコスパが悪い

令和のいまは、「袋とじ」の成人向け雑誌を見ようと必死になった昭和とは違います。スマホとWi-Fi環境さえあれば、いつでもどこでも、コンビニ感覚で、アダルトコンテンツを覗き見られる時代です。それが性的欲求を増幅させる可能性もありますが、逆に嫌悪感を抱かせるケースもあるでしょう。

便利な動画を使い、数分間の「自慰行為(マスターベーション)」で“小腹”を満たせるとなれば(多少語弊はありますが)、わざわざお金や時間を要してまで“主食”の「恋愛(性交渉)」を摂取しようとは、考えにくいのかもしれません。利便性が高い「ひとりエッチ(自慰行為)」に比べ、リアルの恋愛は「コスパが悪い」のです。

SNSで公開処刑の恐れ

一方の「4 恋愛リスクの露呈」も、実は「1 超情報化社会」と無縁ではありません。情報化が進んだことで、若者たちは恋愛リスクを身近に感じるようになりました。

「もし彼(彼女)が、別れ話を切り出した途端、いきなり豹変ひょうへんしたらどうしよう」

’13年に起きた「三鷹ストーカー殺人事件」では、当時18歳の女子高生が元恋人にめった刺しにされたうえ、交際中に撮られた裸の画像などをネット上にバラまかれるという、「リベンジ(復讐ふくしゅう)ポルノ」のキーワードも、世に衝撃を与えました。

Z世代にとっては、ほぼ同年代が被害者となった事件で、多くの人々の間で「怖い」「他人ごとじゃない」といった怯えが生じたようです。

日本で、セクハラやストーカー、デートDV(交際相手からのDV)といった、恋愛を巡る様々な事件やリスクが浮き彫りになり始めたのは、その10年ほど前からです。その後、スマホやSNSが普及すると、「リベンジポルノ」や「コクハラ(告白ハラスメント=脈のない状態で異性に告白すること)」などの言葉も生まれました。

とくにLINEでは、仲間うちで誰かが「今日、好きでもない○○君(さん)にコクられた」と呟けば、「うっそー」「キモーい」「あり得ない」などと、○○君(さん)は袋叩きに遭い、場合によると皆にシェアされる「公開処刑」のリスクもあります。

ベッドに横たわりスマートフォンを使用する女性
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