ロンドンオリンピック2012が終わりましたが、テレビで観戦していると、何人かの選手がプレイの直前に口でぶつぶつなにかことばを唱えていることに気づいた方もいらっしゃったのではないでしょうか。その唇の動きから、あれは自己暗示をしているのだな、と私にはわかりました。

オリンピックのような、人生ここ一番!という大舞台で、自己暗示のことばは魔法のような力を発揮するものです。けれども、私たちが生きる平凡な日常の舞台の上でも、自己暗示のことばは、大いに私たちの心に元気と力をあたえてくれます。

そんなことばの自己暗示の実践方法についてまとめた新刊『すべてはよくなる―─わが師中村天風に教わった自己暗示力』の内容の一部を、日頃多忙なワーキングピープルの方のためにご紹介します。

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■「自己暗示のことば」を唱えることによって、人生を変えることができる

いろいろな分野で成功した人々は、必ず自己暗示のことば―─座右の銘─―をもっているものです。それらはすべて人生をプラスの方向へ、人生を変える力があったのです。
たとえば……、

「私は正直、親切、愉快だ!」(天風のことば)

という自己暗示のことばを、毎日2回(朝と夕)、くりかえして唱えてみてください。1カ月もたつと、そんな人間に自分が変わったことに、驚くでしょう。

いつのまにか、人と話す時にウソをつかない正直な人間となり、人に親切にせずにはおれない人間になり、いつもなにかしら愉快でしょうがない人間になっています。
これが「ことばの自己暗示力」です。

■「自己暗示のことば」によって、「しつこい怒り」も消える

しつこい怒りを消すには、他人本位でなく自己本位の人間にならねばならない、と言われています。自己本位とはミスリーディングな言葉で、「自律」というべきで、「自律」とは「自己暗示の活用」です。
ポジティブな、元気がでるような、自己暗示のことばを毎日唱えると、自然に「しつこい怒り」など消えていくものです。

たとえば……、

「私は喜びだ、感謝だ、笑いだ、小躍りだ、と
―─勇ましく溌剌と、人生に一切に、勇往邁進していこう!」(天風の「言葉の誦句」より)

こんな気持ちになるだけで、明朗快活となりますから、「怒り」などは消えてなくなります。