2024年1月から新NISAが始まる。どのように投資先を選ぶと失敗を避けられるのか。セゾン投信創業者の中野晴啓さんは「つみたてNISAの投資対象となる投資信託は、金融庁がスクリーニングしたものだが、それでも『いかがなものか』と思われるものはある。成長枠投資の場合は、もっと避けたほうがよいものが含まれている」という――。

※本稿は、中野晴啓『50歳からの新NISA活用法』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

「投資信託」と書かれたブロック
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
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「いかがなものか」と思われる投資信託

新NISAのつみたて投資枠の対象となる投資信託は、現行制度のつみたてNISAと基本的に同じになると思われます。

2023年4月6日現在、金融庁が公表しているつみたてNISAの対象投資信託は、「指定インデックス投資信託」が191本、「指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託)」が27本、そして「上場投資信託(ETF)」が7本の、合計225本です。

つみたてNISAについては、相当程度、対象投資信託が絞られていますし、一応は金融庁が、長期積立投資をするうえで望ましいのではないかという基準を定めてスクリーニングしたものなので、どの投資信託を選んだとしても、それほど支障は来さないと思います。とはいえ、それでも、正直なところ「いかがなものか?」と思われるものもあります。

一方、成長投資枠で購入できる投資信託については、①信託期間の残りが20年未満の投資信託、②レバレッジをかけて運用されているハイリスク・ハイリターンの投資信託、③毎月分配型の投資信託、という3つのタイプは対象外になることが発表されています。これにより、現在運用されている公募投資信託のうち3分の2は除外されるともいわれています。

約1900本から選ぶのは至難の業

2023年2月末時点で設定・運用されている追加型株式投資信託の本数は5698本もあります。このうち3分の2を除外すると、約1900本になります。これはあくまでも概算ですが、成長投資枠を利用する場合、約1900本もの投資信託のなかから投資対象を選ばなければならないのです。

1900本といったら、結構な本数です。いちいち、そのすべての素性を調べて、投資できるかどうかを判断するのは、あまりにも骨が折れます。

そこで、消去法で考えるようにしましょう。「この投資信託を買ったほうがいいのか?」を考える前に、「新NISAでの購入に適さない投資信託はどれか?」という観点で絞り込んでいくのです。

厳密に行う必要はありません。大雑把なスクリーニングで十分です。気になる投資信託があったら、まずは、ここで説明する「新NISAでの購入に適さない投資信託」の条件に合致するかどうかを調べてみてください。