タンパク質をとるべきタイミング

筋肉をつけるには、運動だけでなく、筋肉の材料となるタンパク質をいつとるかということも重要なポイントです。

若い人を対象にした運動とタンパク質摂取についての研究があります。朝食、昼食、夕食のタンパク質のバランスが一般的な食事(朝食0.33g、昼食0.5g、夕食0.8g、すべて/kg体重)をとるグループと、朝食のタンパク質を少なくした食事(朝食0.1g、昼食0.5g、夕食0.8g、すべて/kg体重)をとるグループに分け、午前中から午後の早い時間に週3回、筋トレを行ってもらいました。

その結果、筋肉が大きくなったのは、朝、タンパク質を多くとった前者のグループのほうでした。筋肉をつけるには、朝食でタンパク質をとったうえで、体温も代謝も高まっている夕方に筋トレをすれば、より効果的に筋肉は増えると思われます。

しかし、タンパク質をとったあとの運動がいいといっても、やはり時間帯が重要です。

夕方にタンパク質をとって、夜、筋トレをしても、筋肉の増加はあまり期待できません。夜の非活動期は、筋肉は合成ではなく、分解のほうに進むからです。

高血圧の人は夕方の運動が効果的

運動習慣のある約2500人を対象に、朝型か夜型かによって、活動量の強度や時間帯に違いがあるか、また血圧の高さとはどんな関係にあるかを調べました。

その結果、一日の活動量が多いと、夜型より朝型になりやすく、血圧も高くなく、BMIが低いことがわかりました。

興味深いのは、運動をしている時間帯を調べると、血圧が高くない人は夕方に運動していることです。

時間運動学的にその理由を考えると、夕方は体温が高く、代謝がよい時間帯で、脂肪を燃やしやすいことと関係があると考えられます。

夕方に運動することで、中性脂肪値は下がり、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロール値は上がっていくことが期待できます。

高血圧の人は、肥満や脂質異常症、糖尿病を併発していることが多いので、これらを改善することで、血圧も下がりやすくすると考えられます。

複合運動による効果を調べた最近の研究では、男性では夕方の運動が収縮期血圧を下げることもわかっています。

したがって、高血圧の予防や改善にも、夕方の運動がよいということになります。

また、時間栄養学と合わせて考えると、昼食はカリウムを多く含む野菜をとると、塩分(ナトリウム)が排泄されるので、その後、夕方に運動をするとさらに高血圧の予防によいでしょう。

インスリンの働きも改善

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。ご飯やパンなどの糖質は消化吸収されてブドウ糖となり、血液に入ります。そのため、血糖値は、食後高くなります。血糖値が高くなると、膵臓すいぞうから分泌されたインスリンが働き、ブドウ糖は細胞に取り込まれてエネルギーとして燃やされます。

運動して筋肉を動かすと、筋肉の細胞膜でブドウ糖を運ぶタンパク質が増えるため、インスリンがブドウ糖を細胞に送りやすくなり、その結果血糖値を下げることができると考えられています。

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