担当者へのヒアリング前に「仮案」の用意を

業務フロー図の方針とフォーマットを決めたら、各業務の担当者にヒアリングを実施します。ただし、白紙を持って担当者にヒアリングしても意味はありません。まずは業務内容を自分なりに理解し、業務フロー図の仮案を作成すべきです。仮案は想像で構いません。複雑でなくても大丈夫です。一般的な業務の営業や販促などのフローをベースに仮案を作成するとよいでしょう。仮案をもとにヒアリングを実施することで、実際の業務をイメージしやすくなります。

ヒアリング対象者も、自身の業務イメージと仮案の差異を指摘すればいいため、スムーズにヒアリングに対応できるようになります。

担当者へのヒアリングの進め方

ヒアリングには2つのコツがあります。

1つは、他部署や上司・部下の課題などをすべて聞くことです。ヒアリングの目的は、現状の業務における課題をすべて洗い出すことです。大きな課題から小さな課題まで聞き出し、業務フロー図に落とし込むようにします。

鈴木康弘『成功=ヒト×DX デジタル初心者のためのDX企業再生の教科書』(プレジデント社)
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この作業を繰り返すことで、業務フロー図から自社の現状業務と課題をすべて可視化できるようになります。

もう1つは、相手が話しやすい雰囲気をつくることです。ヒアリング対象者は何を話せばいいのか分からなくなりがちです。こうした迷いを解くには、話しやすい雰囲気づくりに配慮します。

担当者によっては、話すことで自分の仕事がなくなるのでは、と思ってしまう人もいます。ヒアリングに非協力的な人も少なくありません。そこでヒアリングの目的や業務フロー図を作成するメリットを丁寧に伝えることも大切です。担当者にヒアリングの目的を理解してもらうことで、業務の詳細まで聞き出せるようになります。

業務フロー図は、現在の業務を整理し、よりよい環境を整備するためのツールです。業務のブラックボックス化を解消するのが作成の狙いです。会社全体の業務を平準化したり、属人化のリスクを排除したりするメリットも見込めます。

当記事は「DX MAGAZINE」(デジタルシフトウェーブ)からの転載記事です。

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