顧客理解と顧客価値が整理されていない

1つ目の落とし穴である「各施策の指針になる『誰に?(顧客理解)』と『何を?(顧客価値)』が不在で、4P施策のアウトプットがずれ、施策で顧客の心と行動の変容ができず、成果が出ない」(図表2)について見ていきます。

落とし穴1:顧客理解と顧客価値の整理がおざなりになっている
出典=『マーケティング思考』(翔泳社)より

これは非常によくあるケースです。SEO、デジタル広告運用、動画制作、記事制作、PRなど何らかの施策を実行するノウハウや情報を持っている専門家が、「誰に?」の顧客理解と「何を?」の顧客価値の整理が強いとは限らないということです。

施策のプロでも顧客理解ができる人は1~2割

もちろん、何らかの特定施策の専門家という旗を立てつつ、顧客理解と顧客価値の整理も上手な人はいます。

さらにいえば各施策の領域で非常に高い打率で成果を出す一流のプロは、わざわざそれを「できます!」と主張しなくても、顧客理解と顧客価値が施策のディレクション基準になる重要性を理解し、依頼主や上司の意図を丁寧に確認しますし、そこが曖昧であれば自ら整理する力を持っています。

しかし、何らかの施策のプロを自任している人でそれができるのは、シビアに見れば1~2割かもしれません。その部分が期待できない場合は、顧客理解と顧客価値の整理は依頼主や上司側がやらなければ、施策の成果が出ることはありません。