「従業員は雇用してやるもの」という考え方

口にはしないものの、従業員は雇用してやるもので、自分が使ってやっているという考えが根本にあります。残念ながら、従業員とその家族にも支えてもらって、自分の組織が成り立っているとは考えていません。

この場合、経営者は「従業員やその家族が会社のためにある程度の『犠牲』を払うのは当然」と考えていてもおかしくありません。

経営者のこうした考え方は、従業員に敏感に感じ取られているものですが、そんな組織では、ハラスメント行為も、見ないふりをしても差し支えのない「犠牲」と捉えられ、野放しにされがちです。

経営者の方が、どちらのタイプの話をされるのか、機会があるときには注意して聞いてみてください。

「犠牲」や「目に見えない支え」について、どんな意識を持っていそうか見抜くつもりで聞くのがコツです。

松崎 久純(まつざき・ひさずみ)
サイドマン経営・代表

もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』(光文社)『英語で学ぶトヨタ生産方式』(研究社)『英語で仕事をしたい人の必修14講』(慶應義塾大学出版会)など多数。