[テーマ2]部下のやる気を伸ばし、成長させる喜びが持てる?

【鈴木】現在はヘルパーさんやパートさんを含めて20人程度の部下を見ています。価値観も生活環境も違い、現場での小さなトラブルは随時発生しますね。特に、施設長になりたての頃は大変でした。

【藤野】20人をまとめるのは大変そうですね。なりたての頃に、一番大変だったことは何ですか?

【鈴木】スタッフの本音を引き出すことですね。1on1で、スタッフの1人が「サンクスカードを送り合う企画をやりたい」と言うので、早速やってみたのですが、実はそんなにやりたくなかったというのが後でわかって。偽善的なサンクスカードの文化ができてしまいました。それからは、部下の言っていることの奥にある本音をどう拾うか考えるようになりました。それに、同僚だった人間が突然上司になると、最初はやっぱりお互い戸惑いますよね。

部下の本音を引き出してコミュニケーションを円滑にしていきたい(鈴木さん)

【藤野】すごくわかります。私は、現在部下は4人なので多くはないのですが、それでも、これまで隣にいた同僚の評価をし、モチベーションをあげていくことに、当初は苦労しました。私よりも先にマネジャーの試験に合格していた年上の男性社員より先に昇進してしまい、部下になった人から嫉妬やいら立ちを直接ぶつけられることもあって……。

【原田】私も最初に年上の部下ができたときは悩みました。どうやってけん引したらいいのかと。「飯をおごれば人がついてくるかも」と思って、たくさんおごったことも。

【安藤】(笑)うまくいきましたか?

【原田】いいえ、まったく(笑)。結局、こびるのはダメで、ぶれない信念を見せる、正直な姿を見せるほうが信頼につながることに気づきました。

【鈴木】管理職も部下も人間だから、お互い本音で話すって大事ですよね。

【原田】ええ、最後は結局、人間同士ですから。工夫したこともいろいろあります。例えば、反発する部下のことを、あえてみんなの前で褒めるようにしました。「君はものすごい自分の意思を持っている。そこを伸ばすといい!」と伝えたんです。そうしたら現場の空気が一変してよい状態になりましたね。今は、昔のようにネガティブなところをたたき直す時代じゃなくて、ポジティブなものを見つけて伸ばしていく時代だと思います。

ポジティブな部分に目を向けて、褒めて育てていく時代(原田さん)

【藤野】確かにジェネレーションギャップには、柔軟な対応が必要だなと常に意識しています。自分がいつも正しいわけじゃないという視点が管理職には大切ですよね。

【安藤】管理職になると、自分自身の評価よりも、チームとしての評価、アウトプットが重要になってくると思います。部下を信じて任せるけど、様子を見守り、時には他部署に部下のフォローをお願いしたりして、チームのモチベーションややる気が保てるようにする。結果、部下は結果を出し、私は仕事が楽になって(笑)、会社にも貢献できて、いいことずくめです。

自分自身の評価よりもチームでの評価を重視すると仕事が変わる(安藤さん)