クッション役となる「ファシリテーター」を活用

この事例のように、長い間年功序列が続いてきた日本型企業の組織では、「空気を読む」「長いものに巻かれる」というように、会議での目立った対立を避けてきた傾向が強いようです。

しかしこのような状況が続くと、活発な会議ではなく、意見が出ない会議となって、新しい発想がうまれず、組織としても沈滞してしまいます。

そこで、おすすめなのが、上司が司会進行をするのではなく、別にファシリテーターを置く方法です。ファシリテーターとは会議などがうまく運ぶために支援をする役割。会議での意見対立に慣れていないと、反論されるのを怖がる人も多くいますが、直接意見を交わすより、ファシリテーターがクッション役となることで、安心して発言ができるようになります。

仲裁するビジネスマンのイメージ
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ファシリテーターになるスキル「ファシリテーション」は、誰でも身に付けることができます。では、ここからファシリテーションのポイントと活用したいフレーズを見ていきましょう。

感情が高まった人に「少し落ち着いてください」は禁句

ファシリテーターの一番の役割は、場の雰囲気づくりです。意見対立はポジティブだという認識を率先して言動で示し、全員と分かち合います。

会議の冒頭で、目的やゴール設定、参加ルールを決めると円滑に進みやすいのですが、それでも意見の対立で険悪なムードになってしまうことはあります。そのときに避けたいのが、感情的な人をなだめようとするフレーズです。

たとえば、「そう感情的にならないでください」「少し落ち着いてください」といった言葉です。発言した本人に悪気はなくても、このフレーズをみんなの前で言われると、当の本人は「真剣に話しているだけだ」と反発したり、軽くあしらわれたと受け取ってプライドが傷付いたりするなど、かえって気持ちを逆なでしてしまう場合があります。

むしろ、多少感情的になっていたとしても、意見を伝えてくれたことに対して、「ご意見をお聞かせいただいてありがとうございます」とプラスの言葉を伝えてみてはいかがでしょうか。そして、「闊達かったつな意見交換ができましたね」と、場をポジティブに捉える発言を積極的にして、対立意見の交換はウエルカムという姿勢を示しましょう。