三井住友フィナンシャルグループ会長 奥 正之(おく・まさゆき)
1944年、京都府生まれ。京都大学卒業後、住友銀行入社。91年シカゴ支店長、94年取締役、98年常務。2001年三井住友銀行専務を経て、05年頭取、三井住友フィナンシャルグループ会長。


 

三井住友フィナンシャルグループが大勝負に打って出た。米金融大手シティグループが保有する日興コーディアル証券と日興シティグループ証券の主要事業を5450億円で買収する。大手銀行が野村、大和、日興の3大証券の一角を傘下に収めるのは初めてで、金融大再編を象徴する出来事だ。

その中心にいるのは三井住友FG会長で、三井住友銀行頭取を務める奥正之氏。旧住友銀行時代から経営中枢の企画部門を歩き、「最後のバンカー」と呼ばれる西川善文前三井住友銀行頭取(現日本郵政社長)の懐刀を務めた。

早くからトップ候補と目されたが、“不平等条約”と揶揄された2003年の米ゴールドマン・サックスを引受先とする増資などをめぐり、西川氏と袂を分かつ。そのとき、西川氏は「奥と北山には継がせない。世間があっと驚く若手を後継に据える」と怒りをぶちまけたという。北山とは三井住友FG社長の北山禎介氏。世間が驚く若手とは、三井住友銀行で専務まで務めた故・宿澤広朗氏だったとされる。

奥氏にとって、証券業務強化は古くて新しい経営課題だ。親密な関係にある大和証券とは、法人取引専業の大和証券SMBCを共同運営する。この大和SMBCの発足は、約10年前の旧住友銀行と大和証券の提携にさかのぼる。提携を機に三井住友(旧住友)と大和の一体化は進むとみられたが、大和の強い独立心がこれを阻んできた。

奥氏は記者会見で、大和SMBCと日興の法人部門の統合を「有力な選択肢」と語り、大和証券グループ本社の鈴木茂晴社長も前向きな姿勢を示す。みずほ証券、三菱UFJ証券が誕生するなか、SMBCフレンド証券を維持し、来るべき日に備え、温めてきた「三井住友証券」の名。大和の理解を得て、その封印を解くことはできるか。