GM新最高経営責任者(CEO) フレデリック・ヘンダーソン

1958年、デトロイト生まれ。ミシガン大学を経てハーバード・ビジネススクールでMBA取得。84年、GM入社。2006年、社長兼最高執行責任者。今年3月31日より最高経営責任者昇格。家族は妻と娘2人。


 

米政府により“更迭”されたワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)に代わり、GMのトップとして会社再建に全力をあげることになった。

米国民のワゴナー批判をかわすための「単なる首のすげ替えでは」という声もあるが、「破産法を申請したメーカーの車を好んで買う人間などいない」と米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を頑なに拒否していたワゴナー前会長と違い、ヘンダーソン新CEOは就任後すぐに「破産法11条適用申請もありうる」と明言した。

GMはワゴナー会長の下、利益率の高いSUVやトラックに力を入れたところ、石油高騰と不況が重なり販売が低迷、過去4年間で820億ドルを失ったとされ、昨年末に134億ドルの公的支援を受けた。米政府は再建に向けた抜本的な改革を要求したが、GMは債権者や労組とのリストラ交渉が難航、事業存続にはさらに166億ドルの追加融資が必要と主張した。

米政府はワゴナー会長の引責辞任と引き換えに60日間の運転資金を与えた。つまり60日間で再建計画をまとめ上げるよう最後通告をしたわけだが、「ヘンダーソンのできることは最初から限られている」というのが米アナリストの一般的な見方だ。

4月8日より、米政府の自動車産業に関する大統領作業部会がGM経営陣と協議を開始。オバマ大統領は政府主導での破産法適用申請が最適と考えているとされ、優良部門は残し不採算部門を破産法で処理する分割再建案や、政府がGM株を取得する「一時的国有化」も論議されているという。

ヘンダーソンは、破産法申請は避けたい構えだが、仮に債務圧縮やリストラが進んでも「肝心の車が売れなければ再建は無理」(米自動車アナリスト)。再建計画の提出期限は6月1日だ。

(写真=AP Images)